「バックアウト・ロード アメリカで最も呪われた通り」 感想(ややネタバレあり)

概要

原題:BuckoutRoad
製作:2017年カナダ
発売:アットエンタテイメント
監督:マシュー・カリー・ホームズ
出演:エヴァン・ロス/ヘンリー・ツェーニー/ダニー・グローバー

ニューヨークのバックアウトロードで大学教授が不審な自殺を遂げる。精神分析医のパウエルは、その事件と夢遊病の双子が現場に訪れたことを調べるうちに事故死してしまう。パウエルの孫アーロンはバックアウトロードに関する悪夢を見るようになり、仲間と共に事件の謎を探っていく。








感想


最近、「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」だとか
「死霊院 世界で最も呪われた事件」とか
「ロバート 最も呪われた人形」とか
ディアボロ 世界一呪われた事件」とか、我こそは最強の呪いであると声高に主張する邦題のオカルトホラーが増えてきましたね。本作の場合はそれだけでなく作中でも「アメリカで一番呪われている」というセリフが何度か出てきます。しかし呪いの強さを一体どう他と比較するというのか。モンドセレクション金賞的な胡散臭さを感じざるを得ない。それとも「屋敷」「通り」「人形」では別物だから比べる必要が無いのか。だとすると「死霊院」と「ディアボロ」はどちらも世界一の事件と言い張っているが実際はどちらが強いのか。「貞子vs伽耶子」のように直接対決でもしてもらわないと、ホラー映画ファンとしては気になって夜も眠れません。





…ということは全くないのですが、少なくとも本作の呪いについてはそんなに大したことはないような気がします。昔、妻が奴隷の子供を身籠ったことに腹を立てた旦那が妻を蹴り殺してしまったとか、そこでクラクションを3回鳴らすと人喰い兄弟が襲ってくるとか、魔女が火炙りにされていたとか、その程度の都市伝説がいくつかあるだけです。バックアウトロードは現実にある心霊スポットらしいので実際に行ってみればそこそこ恐怖感を味わえるのかもしれませんが、ホラー映画としてはちょっとパンチに欠けるかなと。



ただ、スプラッター表現はかなり充実しています。心霊ホラーなのにそんなところで張り切るからかえって怖くなくなるんじゃないかなという気がしますが、70年代風の演出が入ったりするのと終盤の超展開を見るに、本作はシリアスな心霊物ではなく場当たり的でジャンクなスプラッタームービーとしてとらえるのがいいのではないか、とも思います。



で、その終盤の超展開ですが、そこには「お前が黒幕なのかよ!」と思わず叫びたくなる新鮮な驚きがあります。なんかよく分からんけど重大なルールがいきなり追加されてるし。何も知らない人間からすると後出し感全開なんですが、あれは実際のバックアウトロードを知っていると納得できる展開なんでしょうか? というか、黒幕がゲロっても結局事件の真相はよく分かんなかったんですが。そこから畳みかけるような救いの無さ過ぎるエンディングにそこはかとなく漂うヤケクソ感というか打ち切り漫画のような乱暴な感じ。私は嫌いではありませんが、シリアスな心霊ホラーだと思って借りた人の期待を手酷く裏切るものであろうことは想像に難くありません。


なので、結局どういう層にオススメできるのかも判断がつきかねるのですが、まあスプラッターが好きな人は観ても損はしないんじゃないかなと思います。





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