概要
原題:INSIDE製作:2016年アメリカ・スペイン
発売:ポニーキャニオン
監督:ミゲル・アンヘル・ビバス
出演:レイチェル・ニコルズ/ローラ・ハリング
妊娠中で幸せの中にいたサラは、一瞬の不注意で対向車と正面衝突事故を起こしてしまい、夫と聴覚を同時に失ってしまう。それでもお腹の子は無事で済み、出産を間近に控えていたある日の晩、サラの家に突如謎の女が侵入し襲ってくる。
予告編
感想
今日は仕事でかなりメンタルを削られてしまい、いつものように得体の知れないC級映画を掴みにいく気力も残ってなかったので、ついつい安パイを引きに行ってしまいました。
本作は、不快指数がとんでもなく高いことで一部のマニアの間では物議を醸しつつも高評価を得たおフランス産スーパースプラッター映画「屋敷女」のリメイクです。私は血を見るのがすごく苦手なのでオリジナル版はとても手が出せませんでしたが、リメイク版はその点かなりマイルドになっていてスプラッターマニアからは評判がすこぶる悪いらしいので、それなら私でも観られるかなと。
ちなみに私はオリジナル版に興味だけは人一倍あったので解説サイトなどをあちこち回って熟読したので内容はそれとなく把握しております。と言っても10年以上前のことなのでおぼろげにですが。
リメイク版はアメリカとスペインの合作ということになってますが、監督も脚本家もスパニッシュホラー界ではかなり有名な人たちなので実質ほぼスペイン映画というか思ったほどアメリカナイズはされてなかったかなという印象です。
内容は1人暮らしの妊婦が謎のサイコ女に襲撃されるというもので、目的は嬰児の誘拐。
目的がオープニングで早々に示されるのでストーリー展開に意外性とかはあまりなく、純粋に恐怖を追求した映画のように感じます。あとおまけで母性。それよりアメリカでは出産前の嬰児を誘拐する事件が実際に時々起こっているという事実の方が驚きです。本作はまるで「これもそんな事件の一例なんだよ」とでも言いたげに見えますが、さすがにここまで常軌を逸した事件はないと思いたい。
とはいえ、そもそも出産前の嬰児を誘拐という時点でやり方もイメージできないぐらい恐ろしく常軌を逸しているのですが、本作がよりアレなのは周囲を巻き込みまくっているという点です。オリジナル版でも胸糞悪い要素としてよく挙げられる「助けに来た母親をうっかり犯人と誤認して殺害してしまう」シーンはいくらスプラッター表現抑えめとはいえかなりキツイものがあります。そんなことやらかした時点でいくら助かったとしてもハッピーエンドとは言えなくなります。…のはずなんですが、本作のラストはどうもメデタシメデタシ風の締め方だったのがえらく引っかかる。
まあラストはさておき、母親だけではなく隣人の同性カップルや見回りに来た警察官たちが揃いも揃ってさあやっちゃって下さいとばかりに無防備さ丸出しでサイコ女にブチコロされてしまいます。サイコ女はそこまで強そうには見えないし主人公サラの立ち回りもベストを尽くしているとは言い難く、いわば「逆ご都合主義」的に状況悪化しているので観ている方は割りとストレスが溜まる作りです。
あと、妊婦でありながらオープニングでとんでもなく盛大に大事故を起こしたうえ、サイコ女に襲撃されてドタバタ暴れまくって破水し、さらに車で逃げようとしてまたしても電柱に激突する大事故を起こしてからの取っ組み合いの格闘までやらかしておいて、最後まで流産しなかったサラのタフガイぶりがいくらなんでも非現実的すぎるように思えて仕方ない。流産というか男の私でもあんなことしてたら多分3回ぐらい死んでます。そのうえ、肉体だけでなくメンタル的にも相当タフです。もとはと言えば不注意で事故ったサラにも相当の非があると思うし。あの後まっとうな人生を歩めるとは到底思えないんですが。
というようにあまり納得できなかったり突っ込みどころは多々あるんですが、深く考えなければ表面的にはそこそこのスリルを味わえるかなといったところです。良くも悪くもオリジナル版ほどのインパクトはありません。いや、オリジナル版観てないけど。
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