「ハッピー・デス・デイ 2U」 感想(ネタバレあり)(※1作目のネタバレもあり)

概要


原題:Happy Death Day 2U
製作:2019年アメリカ
発売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
監督:クリストファー・ランドン
出演:ジェシカ・ロース/イズラエル・ブルサード

無事に殺人犯を倒し、死のループから抜け出したツリー。しかしその直後、カーターのルームメイトであるライアンもまた死のループに巻き込まれていることが判明する。ライアンを助けるために行動を開始したツリーとカーターだったが、全ての原因はライアンが開発した量子冷却反応器にあるのだった。

予告編



感想


1作目を見た時、「ループしてる原因については一切触れないんだな」と思い、SFではなく変わり種のホラーとして感想を書いてしまいました。そしたら、2作目はしょっぱなから量子力学の研究室が出てきて、多元宇宙の並行次元だなんだとタイムループ系SFでは定番のワードが続々出てくる、完全なるSF映画に軸足を移していました。ツリーみたいなクソビッチが在籍してるんだからさぞかし偏差値の低いバカ大学なんだろうと勝手に思い込んでいたら、実は超天才が集うスーパーエリート大学だったっていう。理系大学生がうっかり時空に干渉する大発明をやらかしてループ地獄に、そしてループしてるうちに今度はよく似た別の次元へ移動してしまうという流れは何となく「シュタインズ・ゲート」を彷彿とさせます。ラストでは国家機関に目を付けられてるし。

こうなってくると、ホラー要素はもう完全に消し飛んでいますね。一応仮面の殺人鬼は襲ってくるけどどうせ中身は知り合いの誰かだし。本作は1作目の2年後に公開されたようですが、量子冷却反応器云々って最初から考えてたのか? それとも後付けなんでしょうか? 元々1作目のエンディングは結局ツリーが殺されて終わりで、それが試写会で大不評だったからハッピーエンドに差し替えられたっていう話を聞くとどうも後付け感が拭えませんが、それにしては大変良く出来ていて感心させられるばかりでした。


あれだけ苦労して死のループから抜け出したのにまたしても同じ日を繰り返す羽目になるわけですが、ループ系は維持しつつも今度はパラレルワールドが主題となっており、前作から地続きの続編でありながらも完全に別物の趣き。


ループとパラレルワールドが入り乱れる本作の筋はかなり複雑で、それについて全部解きほぐそうとするととんでもなく長くなりそうなので止めておきますが、2つほどどうしてもスルーできないポイントがあります。まず、ツリーは何度も死んでループするけどそのダメージは完全にリセットはされずに少しずつ蓄積してしまう…っていう緊張感を持たせるための設定があるんですが、そのわりには中盤で何度もエクストリーム自殺を繰り返すシーンがあるんですよね。どうせ死ぬなら死そのものを楽しんでしまおうっていうヤケクソ感が大変ナイスで、水着でスカイダイビングやトイレ用洗剤一気飲みは本作最大の爆笑シーンでした。なのでそれ自体に異議を唱える気はないんですが、無駄にダメージの大きい死に方を繰り返すのはいかがなもんでしょう。毒入りケーキ食うのが一番体に優しそう。

…で、その水着でスカイダイビング後のシーンを見ると、ツリーが死んだ後もその世界は続いているっぽいんですよね。ループを繰り返すごとにパラレルワールドが量産されてしまっている。となると、いくつかのパラレルワールドではツリーが何の前触れもなく突然エクストリーム自殺した事実が残ったまま続いていくってわけですよ。残された両親がすげえ悩みそうだけど、それでいいのか?


本作は前作に比べると全然売れなくて、せっかく監督には3作目の構想もあるらしいのにこれで完結となるようです。シンプルで分かりやすかった1作目からすると複雑になりすぎたからウケなかったんでしょうか? 実にもったいないですね。国家機関が絡んできた後の展開も見たかったな…。

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