概要
原題:Finale製作:2019年デンマーク
発売:ハーク
監督:ソーレン・ユール・ピーターセン
出演:アンネ・ベルグフェルド/カーリン・ミキルセン/デイモン・ヤンガー/クリストファー・ファブリシアス
深夜のガソリンスタンドで働いていたアグネスとベリンダはその日、ガラの悪い客がたびたびやってくることに辟易としていた。そして店を閉めようとした時、2人は連れ去られてしまう。次に目覚めた時、彼女たちは拷問ショーのターゲットにされていたのだった。
予告編
感想
少しでもピエロっぽいヤツが出てくると何が何でも「イット」の便乗作品にされてしまう昨今のレンタルホラー映画業界ですが本作は超常現象的なものは何もなく、ただの一般人が誘拐されて理不尽に拷問され金持ちがそれを見て楽しんでる…っていう、まんま「ホステル」と同じような内容でした。はじめに「この映画はエグいから気を付けてね!」っていう警告がかなりおおげさに出るんですが、なるほど確かにこれはエグい。「ホステル」ほど血は出ないものの、いい感じに痛覚を刺激してくるので画面を正視できない人もいそうな残酷描写があります。これは「イット」と誤認して借りさせるにはちょっとハードかもしれません。私もこれはどうせ「ザット」とか「クラウンタウン」みたいなC級クズホラーだろうと油断してたら意外と本格的に理不尽で胸糞悪い残酷シーンを見せられて少し凹みました。
なので、「ホステル」系の拷問ホラーとしてはかなり出来がいい方かと思います。気の毒なガソリンスタンド店員のアグネスとベリンダが誘拐されるまでのサスペンスの盛り上げ方も良い。…いや、良い事は良いんですが、時系列を変な具合にいじってしまっているのが非常にもったいない。「誘拐されるまで」と「誘拐されてから」のパートを並行に進めていく構成になっているんですが、これに何の意味も効果も感じられない。先にネタバレしてる分、興が削がれるだけになっちゃってます。変に奇をてらわずに時系列順に編集してくれればそれで良かったのに。裏を返せば、内容そのものは何のひねりもない「ホステル」の二番煎じだから、ただそのまま見せることに抵抗があったということでしょうね。
もう一つ惜しいのが、さり気なく巻き込まれてしまっているアグネスの彼氏ベンヤミンの扱い。せっかくあんなムゴイ目に遭わせるんだから、事前にもっと人物描写をしておけばより良かった。この手のホラーは被害者に感情移入させればさせるほど胸糞悪さが増すというもの。ま、それが本当に良い事なのかどうか分かりませんが。
で、ジャケのピエロっぽいヤツが司会進行と拷問執行人を兼ねてるエンターテイナーというわけですが、ピエロというよりはバカ殿に近いように見えてしまいました。とはいえ、やってることは文句なく憎たらしくおぞましいので悪役としては満点に近い働きぶり。
デンマーク人がこういう悪趣味な映画を撮っちゃうとは驚きました。まあ別にデンマーク人の国民性に詳しいわけじゃないのでただのイメージですが。それでも一応アメリカ産やドイツ産と違って徹頭徹尾悪趣味に振っているわけではなく、お上品な雰囲気はしっかりありますし後味も悪くない。
ということで、「ホステル」よりは多少マイルドで上品な拷問系ホラーが観たい人にオススメです。
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