「ワイルド・ウルフ 危険の代償」 感想 より強い欲望を持つ者が勝つ

概要


原題:Generation Wolf
製作:2016年カナダ
発売:アマゾンプライムビデオ配信
監督:クリスティアン・デ・ラ・コルティーナ
出演:クリスティアン・デ・ラ・コルティーナ/タイラー・マリー/セルヒオ・エルナンデス

デトロイトで育った一人の男。一旗揚げようとカリフォルニアで新たなカービジネスを起業するが頓挫、資金を作るために帰郷する。そこで偶然再会した旧友が大麻栽培で荒稼ぎしていることを知り、起死回生のため危ない仕事に手を出してしまう。驚愕の結末が待ち受ける衝撃サスペンス!
(↑アマゾン商品紹介より)

予告編




感想


DVD発売なしのプライムビデオ配信のみの新作(と言っても2016年の映画だけど)。
これはホラーコーナーだとかなり危険なパターンですが、本作はかなり面白かったです。ホラーじゃなくサスペンスだからか?
なぜホラーはいつもジャンク品ばかりなんだろう。

それにしても、アマプラもなかなかの誇大広告っぷりです。





「誰にもこの男を止めることはできない!」
「驚愕の結末が待ち受ける衝撃サスペンス!」


いや、確かにその通りではありましたがね。
トリックとかではなく「そんなんアリ?」という意味での驚愕でした。
この広告から想像した話とはだいぶ異なる内容。


主人公ヴィンセントはビンテージカーのエンジンをモーターに置き換えて電気自動車として販売する会社の経営者。しかし、モーターが未認可のまま売ろうとしたために当局に車を差し押さえられ、新しいモーターを買う金が無くなり事業の継続が困難に陥る。行き詰ったヴィンセントは故郷デトロイトで金策に駆け回るが上手くいかない。そんな時旧友のビルと偶然出会い、彼が大麻栽培で大金を稼いでいると知る。ヴィンセントは自分もモーター代の分だけ大麻栽培で稼がせてもらえないかと頼むが…


…と言う感じで、野望を叶えるために大麻栽培に手を出したはいいが、思わぬトラブルに見舞われどんどんドツボにハマっていき取り返しのつかない事態に。
まあ、大変よくあるパターンの話ではあります。


それにも関わらず本作がユニークなのは、主人公のヴィンセントがえらく自己中心的であるという点です。自分が成功するためなら、大麻栽培でも何でもやるぜ!ってのは良いとしても、悪党の世界にも厳しいルールとか信頼関係というものがあるのにそういう煩わしいことは一切知らないよ面倒くさいし…とばかりに自分のことばかり優先する。頼み込んで大麻栽培をさせてもらってるのに、何だかんだイニシアチブは絶対譲らない。
ヴィンセントを観ていると、なんてワガママなんだ…もうちょっと相手の立場も考えてやれよ…と言いたくなってきます。この手のサスペンスは堕ちていく主人公に同調してスリルを楽しむものだと思うんですが、本作のヴィンセントは全く感情移入できない存在です。


自分のポカでおおごとになっても、いや~俺には何も関係ないし…お前のボスとかナワバリとか一切知らんし、金は前借りしたから後はシラネで押し通し、面倒な後始末は全部相棒ビルに押し付ける。むしろ全部ビルが悪いことにする。なんてイヤな野郎なんだ。私もこれぐらい図太い神経を持ってみたいものです。この図太さの末に待ち受ける結末は確かに衝撃的。一見の価値はあるでしょう。


本作の原題は「Generation Wolf」なんですが、これは「夢が恐怖よりも強い野心的な世代」っていうことらしいです。そんな言葉が出来るってことは、今のアメリカにはヴィンセントみたいな自己中な奴がゾロゾロいるんでしょうか。非常に恐ろしい話です。しかし、幸い日本に住む我々には全く関係ありませんね。むしろああいう奴がガツガツ稼いでアメリカの経済成長に貢献してくれれば、アメリカに投資している私も安泰というものです。そういやヴィンセントは自らの会社デルトログリーンモータースに投資すると年間25%のリターンがあるとか言って投資家にアピールしてたんですが、どう考えても高すぎて怪しいことこの上なかったですね。そういうのも含めて面白いキャラクターではあったので、プライム会員なら観ても損は無いかなと思います。


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