ホラー映画を構成する要素として音楽は大変重要なポイントです。
人が殺人鬼に追われたりぶっ殺されたりする時、どんなBGMが鳴っているかによって受ける印象はだいぶ異なってきますからね。そこに個性あふれる名曲が生まれてくるのはある意味必然とも言えるのです。
しかしホラー映画のサントラが大ヒットしたなどという話はほとんど聞いたことがない。これはおかしいのではないか。
なので、たまにはお気に入りのホラーサントラについて書いてみようかと思います。
「インフェルノ」
「サスペリア」をヒットさせたダリオ・アルジェントがハリウッドに呼ばれて作った続編。
サントラはELPのキース・エマーソンが担当しています。
「サスペリア」の音楽はゴブリンがやっていて、頭がおかしくなりそうな不愉快な音が逆にクセになるようなインパクトがありました。しかし続編のこちらはそれとは対照的に流麗なピアノ+オーケストラメインでホラーらしからぬ上品な味わいです。一番良いのはメインテーマの「Inferno」ですがそれ以外にも「Taxi Ride」「Mater Tenebrarum」「Cigarettes, Ices, Etc.」等々、映画を見たことがなくても楽しめるような素晴らしい曲が揃っており、総合的にはこれが私の最も気に入っているホラー映画サントラです。というか、映画本編は支離滅裂すぎてわけがわからん駄作だったのでキース・エマーソンの持ち腐れでした。本編は別に観なくてもいいからこのサントラは聴いてみてほしいですね。と思ったら既に廃盤でプレミアが付いてたというオチ。
「バーニング」
1981年のスラッシャー映画サントラ。こちらの担当はイエスのリック・ウェイクマン。私はこれしか聴いたことがありませんが。
この映画のブルーレイは一応発売してすぐ買ったんですが(6年ぐらい前)未だに観ておらず、本編未見のままサントラだけを聴き続ける日々を送っております。音楽はいかにもあの頃のプログレッシブロックという感じで、さすがに音は古臭いけどこういう形のホラー的シンセサウンドは大変好みです。とはいえメインテーマといい意外と呑気で明るい雰囲気の曲が多いんですが。そんな中でも「The Chase」などいかにもサイコ殺人鬼に追われてる恐怖感のある曲は光っていますね。いつかは本編も鑑賞しなければ…
「スリープレス」
ダリオ・アルジェント監督による2001年製作のジャーロ。この時、すごく久しぶりにゴブリンが再結成してアルジェントとタッグを組んだということで相当の期待感を持って鑑賞した記憶があります。プログレっぽくなくなって分かりやすくギターが前面に出てる感じ。サスペリア的な不協和感もなく聴きやすいです。「Killer on the train」は変な言い方ですが実にスタイリッシュに殺人鬼に追われてる雰囲気がたまらない。ゴブリンと言えば何もこれを挙げなくても「サスペリア2 赤い深淵」「シャドー」「デモンズ」「フェノミナ」等々超有名な作品がたくさんあるんですが、私はこのちょっとマイナー気味な「スリープレス」が一番良かったと思ってます。例によって映画本編は支離滅裂でグロ以外印象に残りませんでしたけどね。それでもアルジェントの中ではましな方ですが。
「イット・フォローズ」
古いのばっかりだと懐古主義のおっさんになってしまうので最近のやつ(2014年)。
手掛けたのはディザスターピースという人で、「イット・フォローズ」まではゲーム音楽を作っていた若者のようです。かなりストレートに恐怖感を煽ってくる電子音楽で、この中では一番ホラーっぽい曲が揃ってます。ドライブ中にふさわしいBGMとは言えませんが、眠れない夜にヘッドホンで聴くといい具合に気分が盛り上がることでしょう。サイコな電子音楽が好きな人にはおすすめです。
「ハロウィン」
本編の感想を書いた時にもアマゾンリンクを貼りましたが、やっぱりこれは外せない。メインテーマはシンプルすぎることが魅力であるし、さすがにもうアレンジもブラッシュアップもやり尽くしてるのでいつも通りかなと思いきや、今回はエンドクレジットでかかる「ハロウィン 勝利の時」が格別の出来。
ホラー映画のサントラに興味があるような人は既にこれらは聴いてるんじゃないかという気もしますが、音楽によって恐怖を喚起されてみたいという方は試しに聴いてみてはいかがでしょうか。
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