「THAT/ザット ジ・エンド」 感想 それとこれとは別

概要

原題:clown
製作:2019年アメリカ
発売:ニューセレクト
監督:エリック・フォースバーグ
出演:アダム・エルシャー/ミカヴリー・アマイア/オードリー・ギッブス/サム・ラザルス/デイヴ・クレック

“あれ”が、再び現れる―
1994年、皆殺しにされたサーカスの一団
風化した惨劇の跡地を訪れた、若者男女9人
怪しく佇む古ぼけたサーカスのテント
新たな客がやってきた。さあ、ショーを始めよう

(↑ニューセレクトHPより)

予告編



感想





いいかげん得体のしれないZ級映画を観るのも疲れてきたので、今日はTSUTAYAへ行って新作コーナーに大量入荷されズラリと並べてあったコイツを借りてきました。

絶叫必至!ショッキングホラー第2弾!!
”あれ”が、再び現れるー。

異常に紛らわしいわ。
これは普通に騙される人が出そうです。

そういえば「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり」はもう公開していたんでしたね。原作小説はキングの中で一番好きだし、劇場で鑑賞しようとは思っていたんですがいかんせん上映時間が長すぎてスルーしてしまったんです。そういう人にとっても本作は「ああ、DVDなら休憩しながら観れるから借りてもいいかも」と思って手に取ってしまう恐れのあるパチモンでしょう。本家と勘違いして借りてしまった人の憤激が目に浮かぶようです。


ある程度B級映画通の方であれば、「おお、あのTHAT/ザットの続編か、あれ案外悪くなかったよな」などと、自分だけは詐欺に引っかからないぞ分かってるんだぞと己を過信したままレジに持って行ってしまうかもしれません。


しかしこれ、『THAT/ザット』とすら全く何の関係もない作品なんです。
第二弾ですらないし、”あれ”が再び現れたわけでもない。新人です。
これはなんと隙を生じぬ二段構え。
ニューセレクトの仕事は全く持って抜かりが無い。
私の勝手な推測ですが、おそらくアサイラムに製作費1万ドルぐらいで発注して1週間ぐらいでスピード納品させたブツなのではないでしょうか。


内容は、殺人サイコピエロがいるサーカステントに迷い込んだ若者9人がひどい目に遭ってしまう…という話です。

若者グループの不自然な人数の多さといい、とってつけたような「25年前の因縁」が云々という設定といい、露骨に「イット」の皮を被ろうとしています。


しかし結局は迷宮と化したサーカステントの中でサイコピエロと鬼ごっこしているだけの薄っぺらい内容。このクオリティはアサイラム製作映画の中でもかなり下の方でしょう。まあこの製作費と製作期間では仕方ないかもしれません。ニューセレクトがケチ臭いのがいけないんです(多分)。


舞台となるサーカステント迷宮なんですが、サイコピエロが「壁はスチール製だぞ!」とさかんにアピールしてきます。そのうえ壁が勝手に動いて若者たちを迷わせ、脱出不能であるかのような雰囲気を醸し出そうとしてきます。

サイコピエロの罠にまんまとはまり、パニックを起こす若者たち。

しかし、どう目を凝らしても壁は隙間だらけの粗末な板キレにしか見えないんですよ。
日光が燦々と差してきてるんですよ。

「お前クォーターバックだろ!頭使って脱出方法考えろよ!」

とか喚いてるんですが、ちょっとタックルすればすぐ出られそうなんですよね。
ただの狭苦しい掘っ立て小屋なのに、広大な迷宮みたいな素振りをされてもなあ…

なので、ここを何とか「実はスチール製の頑丈な壁なのだ」「実は広いのだ」と優しく脳内補完してあげられる人じゃないと本作は楽しめないのではないかと思います。

いちいち挙げませんが他にも突っ込みどころは満載で、途切れることのない不自然な行動、不可解な会話のオンパレードに良識人は眉をひそめざるを得ないでしょう。

私は「ドールズ 異質な同居人」という究極のZ級映画を観た直後だったので次はパチモンでも何でも楽しめるはずだと思いきや、これはこれでいただけない。
まあ、すごく楽しそうに若者をいたぶるピエロが観られたのでヨシとしておきます。

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