「ミッション:60ミニッツ」 感想 デスゲームに巻き込まれたという妄想

概要

原題:Sixty Minutes to Midnight
製作:2017年カナダ
発売:アルバトロス
監督:ニール・マッケイ
出演:ロバート・ノーラン/アーノルド・シドニー/テリー・マクドナルド/ヒュー・ラム

1999年のアメリカ、テキサス州。元戦場カメラマンで、ベトナム戦争に従軍経験を持つジャック。しかし今はアルコール依存症の建設作業員として孤独な生活を送っていた。大みそかの夜、ジャックの家に謎の武装集団が襲ってくる。それは、60分間生き残ると100万ドルもらえるサバイバルゲーム番組「レース・ザ・クロック」だった。

予告編



感想


建設作業員のジャックが大晦日に自宅でのんびりくつろいでいると、なぜか武装した屈強な軍人共や射撃の達人が自分を殺そうと押し寄せてくる。それはあらゆる攻撃から60分間生き延びれば賞金100万ドルというテレビ番組の生中継であった。


という、理不尽極まりない設定のアクション映画。
全体的に80年代風味です。
確かに80年代はこういうデスゲームを娯楽化したテレビ番組が出てくるアクション映画が色々ありました。例えば「バトルランナー」とか「死刑執行ウルトラクイズ おだぶつTV」などですね。

しかし大抵その手の映画は近未来が舞台なんですが、本作は1999年末と逆に過去です。これは珍しい。確かに前世紀末は色々とカオスな世界でしたが、それでもこんな楽し気な無差別殺人ゲーム番組など存在したはずがない。となると、そこには何らかの意図が隠されていると見るべきではないでしょうか。

ちょっと真面目に考えると、この「レース・ザ・クロック」のように一般市民を何の理由もなく本気で殺しにかかって来るような番組を合法的に放送できるはずがありません。
あまりにも当たり前すぎてアレですが、近未来ならまだしも1999年にしては全く何の説明もなさすぎて「そういうパラレルワールドなんだ」と無理やり思い込んで楽しむのも難しい。

あと、これをエンターテインメントとして成立させるためにはターゲットもそれなりの強者を選ばなくてはならないでしょう。本作の主人公ジャックはベトナム戦争に従軍経験があるという設定。いかにもトラウマを抱えていそうです。

だからジャックが選ばれた、というよりこれはジャックが見ている理不尽な悪夢と考えた方が良さそうです。

ジャックはベトナム戦争での古い仲間が芝刈り中に亡くなったと聞かされたり、2000年問題や政治家や役人の汚職など様々な社会問題に対する不安や不満が鬱積している。またタバコをやめたことでジャックの精神はあまり良くない状態であるように感じられます。

そんなジャックが孤立した農家に一人きりで酒に溺れながら過ごし、唯一の身内である妹から電話が来た時の会話がこれ。

「もう、兄さんが架空の存在に思えてきた」
「自分でもそう思うことがある」

これらのことを考えると、この直後にジャックを襲った悪夢はやはり現実ではなく本当にただの悪夢だったのではないか。こじつけかもしれませんが、そうとでも考えないとリアリティが全く無い設定だし銃撃戦も空虚すぎて楽しみようがなかったです。

コメント

切り裂きシンザ さんの投稿…
これはなかなかw
名作「ミッション:8ミニッツ」から題名をパクった時点でw
岩石入道 さんの投稿…

そういえば何かに似てると思ったらそれのパチモン風味でしたね。
「~ミニッツ」という邦題の映画は実は異常に多くて何が何だか…
淡泊すぎてあまり手に取りたくなる邦題ではないと思うんですけどね。