「ライリー・ノース 復讐の女神」 感想 イヤミなママ友に鉄拳制裁

概要

原題:Peppermint
製作:2018年アメリカ
発売:プレシディオ
監督:ピエール・モレル
出演:ジェニファー・ガーナー/マイケル・モーズリー/ジョン・ギャラガー・Jr/ファン・バブロ・ラバ/リチャード・カブラル/メソッド・マン/ジョン・オーティス

L.A.郊外、ライリー・ノースは、夫クリスと10歳になる娘・カーリーとともに生活は苦しくとも、平穏で幸せに暮らしていた。ある日、娘カーリーの誕生日を祝うため、クリスマス広場へでかけるも、麻薬組織の襲撃に遭い、一瞬にして家族の命が奪われる。辛うじて一命を取り留めたライリーは、家族の死に直面し、深い悲しみに襲われる。さらに、自らの目撃証言で容疑者たちが犯人であると断言するも、起訴要請は取り下げられ、彼らは無罪放免、ライリーは絶望と共に姿を消した。そして、5年後、ライリーは、再びL.A.に還ってきた。復讐のため、悪党どもに正義の鉄槌を下すために―。ライリーVS麻薬カルテル。やがてそれは、警察、メディア、そして街中を巻き込む一大決戦へと突入する。
(↑プレシディオHPより)

予告編





感想

私が死ぬほど大好きな超名作「96時間」のピエール・モレル監督最新作。
…でも、この監督の他の作品はどれも微妙にいまいちなんですよね。どれもあまりひねりのない直球ばかりなうえ、あれほどの爽快感とスピード感はない。「96時間」はあまりにも剛速球すぎました。それだけにこの監督には未だに期待してしまうんですが…本作もその例にもれず、午後ローでボンヤリ流し見るのが丁度いいような塩梅の小粒という印象は否めない。
まあ「96時間」と比較してしまうからいまいちに見えるのであって、単体で考えれば充分良作なんですけども。



麻薬組織に愛する夫と幼い娘を無残に殺害された主婦ライリー。しかし悪党共は悪徳弁護士や判事に守られており無罪放免。そんな社会のゴミ共に自ら裁きを下すべく、5年間の修行を経て屈強な戦士に生まれ変わったライリーは、スラム街を拠点に麻薬組織に戦いを挑む。


という話ですが、まるでどこにも目新しい点は何一つ存在せず、リベンジアクションの王道というよりテンプレートをそのままなぞったかのような作り。ヴァンダムやラングレンが午後ローでいつもやってるのと何が違うのか分からん。ヴァンダムなら「ヘル」とか「レクイエム」、ラングレンなら「レッド・リベンジャー」「パニッシャー」等々、この手のリベンジアクションは遥か昔から腐るほど量産されてるし、2018年にもなってモレル監督がわざわざ焼き直す必要はないように思えます。

彼らの後ろ回し蹴りのような必殺技も無く、格闘戦や頭脳プレイは控えめで、ひたすらドンパチで強引に無双していくスタイル。ストーリーは王道でも何でもいいんだけど、それならそれでアクションには何かインパクトが欲しいんです。変わった武器でも使うとかさ。いくらなんでももう少し何かひねってくれてもいいんじゃないか。

しいて言うなら、麻薬組織に復讐するついでに仲の悪かったママ友をぶん殴るシーンくらいかな。冷静に考えるとあれはかなりのとばっちり。そこは予告編でもフィーチャーされてますが、それぐらいしか本作ならではという面白味がない。それならせめて敵キャラは印象的であってほしいが、麻薬組織のボスも何だか中途半端にマジメなうえ小物臭が否めず、部下たちにもこれといって記憶に残るようなキャラはいません。


また、ライリーはそれまで平凡な主婦だったはずなのに5年間修業しただけであそこまで強くなるというのも説得力に乏しすぎる。ヴァンダムやラングレンならそういう問題は発生しないのだが。ジェニファー・ガーナーが15年くらい前に「デアデビル」で女武術家役をやっていた程度では微妙。あんまり覚えてないし…。それに強いと言っても基本ドンパチで無双するだけだから、主役補正みたいなものを感じざるを得ない。ブライアン・ミルズのような段取りの良さやどこまでも食らいついて離れない異常な執念みたいなものがほしい。一応、ライリーも復讐のついでに世直しまがいの暴行を働いてしまうような狂気を見せはするものの、物足りなかったです。




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