「ドント・イット THE END」 感想 モロッコ版 IT/イット

概要


原題:Achoura
製作:2018年フランス・モロッコ
発売:AMGエンタテイメント
監督:タタル・シェルハミ
出演:ソフィア・マヌーシャ/オマール・ロトフィ/アイヴァン・ゴンザレス/ムーサ・マースクリ

モロッコで子供の連続誘拐事件が発生。刑事のアリは不眠不休で捜査するが、手掛かりは得られない。そんなある日、行方不明中だったアリの弟サミールが発見され、容疑者として逮捕されてしまう。しかし犯人は人間ではなく、彼らが幼少時に出会った怪物”ブガタトゥ”だった。


予告編




感想


THAT/ザット ジ・エンド」が別にTHAT/ザットの続編ではなかったように、本作もまたあの黒魔術マニア専用映画「ドント・イット」の続編でも何でもありません。あっちはアイルランド製だけどこっちはモロッコ製だし関係ないにもほどがある。よくもまあ続編扱いできるもんですね。毎度ながらこの図太さには感心します。そういえば考えてみたらモロッコ映画なんて観たことないな。


しかし前作(?)とは違い、本作はモロッコ版「IT/イット」と言っても差し支えなさそうなお話ではありました。幼少時にバケモノと出会ってしまった仲良し4人組が、大人になって改めてそのバケモノと対峙する。ちょっと陰鬱すぎるけど、本家へのリスペクトが強く感じられます。出来も悪くない。配給会社も「これはパチモンに出来る!」と思ってわざわざ普段目にしないモロッコから引っ張ってきたのでしょう。そう考えるとこの業界のパチモン文化もそう悪いものでもないかな。

これだったらうっかり本家「IT/イット」と間違えて借りちゃったとしても気づかないかもしれませんね。「ドント・ブリーズ」と間違えてしまった人は…救いようがないですが。


モロッコで頻発する子供の誘拐事件。それはアシュラの夜にやってきて子供を食らうという伝説の悪魔ブガタトゥの仕業だった。アリとサミール、ナディア、ステファンの4人は過去にブガタトゥと遭遇したことがあった。その時は守護者によってブガタトゥはサミールの中に封印され、彼と一緒に連れ去られてしまったのだ。

ストーリーは本家「IT/イット」と似ているとはいえ前半は人物と時系列が入り乱れていて分かりにくく、誰が何者なのか認識しづらいのがつらいところ。後半になるにつれやっと理解できてきたと思ったらすぐに決着がついてしまいます。これはちょっと物足りない。この内容で90分にまとめるのはさすがに無理があったようです。本家「IT/イット」も前後編合わせたら6時間ぐらいありますしね。

ブガタトゥの造形はかなり気合が入っていて、ダークファンタジー的な雰囲気。お顔はプレデターっぽくてちょっとかっこいい。モロッコの文化がよく分からんからどういう存在なのかいまいち理解できないのが悔やまれる。ブガタトゥが襲ってくる場面は特に残酷描写もないし大して怖くもないんだけど、ガイコツだらけの棲み処は大変禍々しくて好みでした。誘拐された子供たちは容赦なく喰われてしまっていたという救いの無さ。仲間たちがバタバタと無駄死にしていく鬱展開。からの、あのラストはなかなかキツイ。アリの心情が読み取りにくいが相当イヤな終わり方です。結局解決してるようでしてないというか先延ばししただけだし、あの後もロクなことがなさそう。


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