概要
原題:BODIES AT REST
製作:2018年中国・香港
発売:インターフィルム
監督:レニー・ハーリン
出演:ニック・チョン/ヤン・ズー /リッチー・レン/フォン・ジアイー/カルロス・チェン/マー・シューリアン
クリスマスイブの日、夜勤に従事していた監察医のニックとリン。そこに突如、武装した3人組が押し入ってくる。彼らはとある死体から弾丸を抜けと不可解な要求をしてくるが、ニックはとっさに別人の弾を渡してしまう。
予告編
感想
レニー・ハーリン監督の新作。この人も昔はハリウッドの超売れっ子監督だったのに、今じゃ香港でこんなちんまりしたB級アクションを撮ってるとは何だか物悲しい。しかも内容は「ダイ・ハード」を著しくスケールダウンさせた縮小版といった趣き。この作品ならではというポイントは舞台が遺体安置所というぐらいです。腐ってもレニー・ハーリンなのでそこそこ楽しめはしますが、ダイ・ハードを焼き直すぐらいならまたサメ映画を撮ってほしいな。
遺体解剖施設にやってきた謎の武装グループ3名と監察医+助手の戦い。前置きは極力短く、スピーディに話が進んでいきます。なので序盤は面白いんです。が、いかんせん敵も味方も人数が少なすぎるので、中盤で息切れしてくる感が否めない。簡単に死人が出せないのでみんな異常にタフなんです。どんだけ痛めつけても平気で何度も起き上がってくる。もうそろそろ死んでみてはどうでしょうか?とまでは言わないにせよ、いい加減失神するはずだろと思うことがしばしば。まあ、これがレニー・ハーリン節と言えばそうなんですが。過去作だと「ロング・キス・グッドナイト」の主人公の異常な不死身っぷりがゾンビ並みにひどすぎて大いに笑わせてもらった記憶があります。しかし本作の場合はほぼ全員が不死身なので省エネ・リサイクル感がにじみ出てる。
本作では主役のニックやリンは別に武術家でもないただの一般人。なので感心するようなすごいアクションがあるわけでもないし、襲撃者との戦いが長引けば長引くほどグズグズした泥仕合の様相を呈してくるのが問題です。なまじ序盤から飛ばし気味だったせいで戦えば戦うほどグダグダに。
ニックたちも素直に武装グループの要求を呑んでおけばいいものを、いちいち逆らったり騙そうとするもんだから無駄に事態が悪化したように見えてしまいます。ニックたちは武装グループがもみ消そうとしている殺人事件とは全く無関係なんだから、あそこまで正義感をかざして抵抗する意味がちょっと理解しにくいですね。奥さんの過去話が戦う動機なんだろうけど、それだけでは弱すぎるかなと。
最後の大爆発に至っては何で起こしたのか全く分かりません。いや、ラストは必ず大爆発で締めないとね、っていう作劇上の都合は分かりますけども。無駄に施設を破壊しただけにしか見えないのはちょっと…
武装グループの方も大概で、もとはと言えば殺人の証拠を消すためにやってきたはずなのにあんな大暴れして更なる殺人を重ねていては何の意味もない。警官まで殺した後に銃弾を回収したってどうにもならんのではないか。もうそろそろ諦めて高飛びする方針に切り替えた方が良くない?と言ってあげたくなりました。
アクションとしては遺体安置所の設備や遺体そのものを活用したバトルに多少新鮮味はあったものの、あまり記憶には残りそうもない凡作という印象。レニー・ハーリン監督の次作には「ディープ・ブルー3」をお願いしたいところです。
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