「IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり」 感想 中年になってしまったなあ

概要

原題:IT:chapter two
製作:2019年アメリカ
発売:ワーナー・ブラザーズ
監督:アンディ・ムスキエティ
出演:ジェームズ・マカヴォイ/ジェシカ・チャステイン/ビル・ヘイダー/イザイア・ムスタファ/ジェイ・ライアン/ジェームズ・ランソン/アンディ・ビーン/ビル・スカルスガルド

ルーザーズクラブがペニーワイズを倒してから27年後、デリーの街で再び殺人事件が起き始める。ペニーワイズの再来に気付いたマイクは、かつての約束に従ってルーザーズクラブの面々を招集する。彼らは過去のトラウマを克服し、今度こそ完全にペニーワイズを葬り去ることができるのか。

予告編




感想


ホラー映画史上NO1ヒット作の後編、やっと観ることが出来ました。2時間49分もあるからなかなかね…。しかしこれでも原作の長さを思えばかなりキツキツの尺。どこか物足りなさを覚えます。これなら3部作にするか、もしくは13話のドラマを何シーズンかかけてやれば良かったのではないかと。原作小説はスティーブン・キングの中でもベスト1と言っていい面白さですが、本作はそこまで良いとは思いませんでした。いや、それでもキング映画の中では間違いなく上位に入るんですけどね。「イット」に関しては1990年のテレビミニシリーズがありましたから、カネがかかっている分やっぱりあれを大幅に超えるものを期待してしまうんです。

それにしても私が原作を読んだのが20年以上前、テレビドラマ版を観たのも20年前、前編を観たのも既に2年前なので細かいことはもうあんまり覚えてません。まとめて観れる人はなるべくそうした方がいいでしょうね。
27年に一度、デリーの街に現れる殺人ピエロとルーザーズクラブの子供たちとの闘いを描いたのが前編で、「スタンド・バイ・ミー」にホラー要素を注入したような雰囲気の話でした。

後編は中年になったルーザーズクラブが再び殺人ピエロと戦うことになるわけですが、ここでふと自分も彼らと同じ年代になっていることに気付いて愕然としてしまいました。小説を読んだ時は少年時代の彼らと同じ目線で楽しんでいたのに。なんてこった。しかもルーザーズクラブの面々は全員ではないにしろそれなりに成功している。ビルは有名作家、リッチーはコメディアン、エディはリスクアナリスト等々…。中年になってもルーザーな私は一体どうしたらいいんでしょう。

まあそれはさておき、後編で最も気になるのはやはりペニーワイズとの最終決戦がどうなっているかです。昔のテレビ版は人間ドラマ的には素晴らしく良い出来だったものの、最終決戦でペニーワイズが巨大な蜘蛛のバケモノと化すシーンだけは異様に評判が悪かった。カネが無くてそこだけチープすぎたんです。そこ以外は良かっただけに、悲しかった…。しかし、本作には潤沢な製作費がある。リアルでスペクタクルな巨大蜘蛛との決戦が拝めるはず!

…と思ったんですが、確かに多足類なものの蜘蛛にはなってませんでした。別に蜘蛛じゃなきゃ嫌だとは言いませんが、ちょっと拍子抜け。本作のペニーワイズはルーザーズクラブに対して「お前ら、大人になったなあ…」などとシミジミつぶやいたりして、どことなく気の良いおじさん風に見える。原作の何をどう解釈してそうなったのか分かりませんが、これはこれで面白いアレンジでした。




そういえば中盤で古道具屋の主人役でキングが出演してましたが、えらく老けこんだもんですね。72歳だから当然か。現在は「死のロングウォーク」と「トミーノッカーズ」の映画化が進行しているらしいです。著作全てが映像化されそうな勢いですね。しかし「ロングウォーク」はともかく「トミーノッカーズ」はキングの中では最悪につまらなかった記憶があるけど、大丈夫なんだろうか。

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