「エンド・オブ・ナイトメア」 感想 明晰夢なのに悪夢

概要

原題:PACCBET
製作:2019年ロシア
発売:プルーク
監督:パベル・シドロフ
出演:アレクサンドラ・ドロズドワ/アナスタシア・クイモワ/アレクサンドル・モロチニコフ/クズマ・コトリェレブ

20歳の誕生日に、兄に自殺されてしまったスベトラーナ。遺品を整理していると、夢の悪魔を崇拝するカルト教団について書かれたノートを発見。スベトラーナ自身も悪夢に悩まされるようになり、明晰夢を利用した治療法を受けてみるが、恐ろしい悪夢の世界へ引きずり込まれて行く。


予告編がないのでゲオナビ



感想


悪夢に苦しむ女性が睡眠学研究所の明晰夢セラピーを受けてみたらえらいことに、という話。
夢と現実が交錯する幻想ホラー…ってそういうのはあまり好きじゃないんですが、明晰夢をテーマにしているのは珍しい。ここ最近のロシア映画の中では割と楽しめる方でした。

ところで、私も最近現実があまりにも悪夢的すぎてつらいんですよね。
例えばコロナショックで国民がパニックに陥り困窮しているというのに、政府はお肉券だのお魚券だの揉めている事とか。これが悪夢じゃなくて一体何だというのか。

私も明晰夢セラピーを受けてみたいものです。どうにかしてこの悪夢から一時でも逃れられないか。自力で明晰夢を見るには金縛りに遭った時がチャンスだと何かの本で読んだのでこの前試してみたんですが、全然上手くいかないんですよね。

しかし本作によると、既にロシアはシロウトでも数分で明晰夢を見られるような超技術を開発していたらしい。さすがロシアの科学技術は世界一と言う他ない。お魚券とか寝言ばかり言ってるジャップランドとはひと味違う。


ところが、口では明晰夢と言いつつも、全然そうは見えません。
そもそも明晰夢の定義とは何なのか。一般的には自分で夢と自覚している夢の事で、状況を好きなよう操作出来ると聞きます。しかし本作で明晰夢セラピーを受けたスベトラーナは、それが夢だとはっきり自覚している風でもなく、思い通りにコントロール出来ているわけでもなく。一緒にセラピーを受けた見知らぬ男女3人と一緒に、無人の睡眠学研究所に閉じ込められてしまいます。そして彼らはトラウマに苛まれ、犬やカオナシの悪魔に襲われることに。

これってただの悪夢ですよね。人為的に見せられてる、4人で夢を共有してる、という違いはありますが少なくとも明晰夢ではない。まあ、カオナシの召喚に利用するために明晰夢と偽って人を集めたという話だったんでしょうけど、騙されたようで釈然としません。いや、スベトラーナたちが騙されたことには間違いないんですが。

スベトラーナ以外の3人はポッと出の脇役なのになぜかやたら時間をかけて掘り下げられるし、かといってその後彼らがどうなったのかは完全にスルーされてしまうので、時間稼ぎ以外の意図を測りかねます。まあそっちにばかり気を取られていたらオチで予想外の角度から一撃入れられましたが。

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