概要
原題:Mary製作:2019年アメリカ
発売:トランスフォーマー
監督:マイケル・ゴイ
出演:ゲイリー・オールドマン/エミリー・モーティマー/マヌエル・ガルシア=ルルフォ/ステファニー・スコット/クロエ・ペリン
長年自分の船を持ちたいと思っていたデヴィッドは、妻のサラと2人の娘とのより良い生活を夢見ていた。ある日、オークションで見かけた70年前の船“メアリー号”に魅せられた彼は、これこそが家族の希望だと妻を説得し船を購入する。しかし初めての船出の日、家族に不可解な現象が次々と襲いかかる。写真に映り込む謎の顔、豹変する幼い娘、開かない扉…。沖へ進むにしたがって、一家は次第に恐怖の淵へと追い詰められていく。実はこのメアリー号には悲しい歴史があり、古くから怨念と悪霊が住み着く“死霊船”として、乗り込む者を呪い続けていたのだ!見渡す限りの海。逃げ場のない究極の密室で、デヴィッドは愛する家族を救うことができるのか!?(↑トランスフォーマーHPより)
予告編
感想
これは…邦題とジャケットから想像できる内容を一歩もはみ出さない、ものすごく古典的でオーソドックスな心霊ホラーでした。例えるなら、初見の洋食屋に入ったら冷たくて表面に膜の張った業務用カレーが出てきたようなガッカリ感。まずすぎるということはないが、いつでもどこでも食える業務用。少しでいいから何か個性がほしいのに、何ひとつ尖ったところはなくただただ手堅く凡庸なだけ。そんなもん見せられたって正直何の感想も浮かんできませんね。
しいて言えば、本作は生き残った人物が警察の取り調べを受けて何があったかを語っている形式なんですが、幽霊船で悪霊が憑りついてきてみんな殺されたんだ…という話を警察は素直に信じないわけです。これも当たり前すぎてつまらんし、実は人間が悪霊の仕業に見せかけた事件だったのだ!オチを期待してみましたがムダでした。幽霊船の悪霊のくせに陸の警察署まで行くなよと言いたい。
で、警察は「人は困窮すると虚構の世界に逃げ込むことがある」と解釈するんです。これは地味に刺さる言葉でした。私も嫌なことがあればあるほどホラー映画の世界に浸りたくなってしまうんですよね。現実では今まさに日経新聞では「一万年に一度の急落」とまで称されたコロナショックに巻き込まれているわけです。飲食業や観光業の方々に比べればマシとはいえ、限りなく致命傷に近いダメージ。修復不能の傷口から血液が流れ続けて止まらない現実から目をそらさなければなりません。こんな時こそド派手なスプラッターが必要とされているのに、こんなヌルくて凡庸な心霊ホラーではどうにもストレス解消出来ません。
トランスフォーマーもこんなのわざわざ配給するなよな~と思いながらHPを見てたら、来月は「ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男」なんてのがリリースされるんですね。ヒトラーとビッグフットにどんな繋がりがあるんだ。これはめちゃくちゃ面白そうで楽しみ。
…ということで本作の感想については以上ですが、鑑賞中に眠気を催して仕方がなかったので鑑賞後すぐに昼寝をしたんですよ。そしたらひどい金縛りに遭ってしまいました。体が全く動かない中、鼓膜が破れるんじゃないかというくらいに激しい耳鳴り、頭部から胸にかけての強烈な圧迫感。まぶたの向こう側に感じるおぞましい何者かの気配。辛い現実から逃れようと鑑賞したホラー映画はつまらなく、さらにそこから夢の世界に逃れようとしたらこれだ。どこにも安息の場はないのか。私は科学の子なのでオカルトは何一つ信じてないんですが、それでもこの映画よりよっぽど怖かったですね。心霊ホラー映画にはせめてリアル金縛りを上回る恐怖体験を提供して頂きたいものです。
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