概要
原題:Lifechanger製作:カナダ
発売:AMGエンタテイメント
監督:ジャスティン・マクコーネル
出演:ローラ・バーク/ジャック・フォーリー/レイチェル・バンダザー/スティーブ・カサン
ドリューは、他人の体と記憶を吸収しないと生存できない生物だった。体が腐り落ちる前に、次々と他人の人生を乗っ取ってきたのだ。ドリューはそんなことを好きでやってるわけではなかったし、自分が何者なのかも分からなかった。ただ一つ、彼には願望があった。愛する女性ジュリアのそばにいたいという願望が。
予告編
感想
うーむ…
これはあまりにもひどすぎるのではないだろうか?
いや、映画の内容自体は良かったんですよ。
問題はそこじゃなく、例によって宣伝と邦題がね。
またかよ、と思われるかもしれませんが突っ込まずにはいられない。
「寄生体XXX」って、なんとやる気の無い安っぽい邦題でしょうか。大体過去に「寄生体X」っていうのもあったし。劇場公開時は「スキンウォーカー」だったらしいんですが、そのままの方がマシだったような。
まあ明らかに「スピーシーズ」に寄せて来てるジャケットと宣伝文句ですよね。
宇宙で最も凶悪かつ、《美しき侵略者》
人間の体と記憶を奪う恐怖の“生命体X”― 人類に生き残る術はあるのか!?
実際はそこまで凶悪でもないし、
全然美しくもないし、
侵略者でもない!!
当然人類が生き残る術を模索するわけもなし。
つーかそもそも寄生すらしてなくない?
コピーとか吸収の類だし。
今まであまり気にしてなかったけど、実はAMGエンタテイメントこそが最強の詐欺映画配給会社なのかもしれません。アルバトロスがかわいく見えてきた。
本作は、他人の人生をコピーして乗っ取らないと生きていけない謎の生物ドリューの苦悩と愛をシリアスに描いた哲学的な映画でした。寄生型エイリアンと人類の戦いを描いたバカホラーだと思って借りてきた私は一体どう反応すればいいのか。
詐欺ってのはゴミをさも高品質な映画のように宣伝するのが正しいやり方だと思うんですが、本作の場合その逆をやっているからわけが分からない。腐肉を漁るスカベンジャーにアピールすべき映画ではなく、もっと適切な客層が他にいると思うんですよ。
まあ観てしまった以上感想は書きますが…
他人の体と記憶をコピーして生きるドリューですが、コピーした後に残る遺体の処分がやたら大変そうだなあという印象。バラバラにして人目に付かない農場に運んで燃やさねばならない。昔は数年~数十年に一度で済んでいたが、老化した今は数日か下手したら数時間でコピーしなければ自分の体が腐ってしまう。なので相当頻繁にコピーと遺体処理をこなす必要がある。生きるためとはいえとんでもない重労働です。
ドリューはバケモノとはいえメンタルは人間とそう変わらないようです。なので、そんな状態に陥ったらもうめんどくさいし罪悪感も膨れ上がりそうだから腐るにまかせて滅びてもいいんじゃないかなと思います。だが、彼にはジュリアという愛する女性がおり、その想いを遂げるまでは死にきれないという話。片思いの悲恋物語と見るべきか、サイコなストーカー物と見るべきか迷うところです。ドリュー視点で観れば前者、ジュリア視点で観れば後者になりますかね。
しかし、ドリューはなぜそこまでジュリアに惹かれたのか??がいまいち伝わってこないのは気になったかな。恋愛などフィーリングでいいのかもしれませんが、あれだけの人を犠牲にして執着しまくっていたのだから、もうちょっとなんかあっても良かったのではないかと…。
まあこの映画の本質はそんなところにあるのではなく、
「”自分”とは一体何なのか」
という深遠な問いを、コピー生物ドリューを通して投げかけることにあったんだろうなとは思いますが。ラストの姿はあれが本来のドリューってことですよね。生きる目的を失った末にようやく自分の存在を悟ることができたのだと。解釈は色々ありそうですが、私はそんな風に受け取りました。
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