「ナイト・ストーム」 感想(ネタバレあり) 気が合わない夫婦の奇行

概要

原題:Grand Isle
製作:2019年アメリカ
発売:TCエンタテイメント
監督:スティーブン・カンパネッリ
出演:ニコラス・ケイジ/ケイディー・ストリックランド/ルーク・ベンウォード/ケルシー・グラマー

町には猛烈なハリケーンが近づくある日、妻と病気の子どもを抱えながらも休職中のバディは、退役軍人のウォルター(ニコラス・ケイジ)という男から、破損した自宅の柵を修理してほしいという依頼を受ける。ウォルターから「その日のうちに修理しろ」と依頼されたバディは、高額な報酬につられて作業に取り掛かるのだが、ハリケーンの上陸までに終わらず、やむなくウォルターの自宅に泊まることになる。バディはウォルターの魅力的な妻ファンシーから誘いを受けるがまま一夜を共にしてしまうのだが、そこには大きな思惑と秘密が隠されていた…。
(↑TCエンタテイメントHPより)

予告編



感想


今月のニコラス・ケイジ枠。

これを新作で400円払って借りたら「何じゃこれふざけんな」と言いたくなる内容ですが、もし気だるい休日に「午後のロードショー」でたまたま目にしていたらすごく楽しめるはず。
そんな感じのニコケイクオリティです。



最初に本作の紹介文を見た時、「またニコケイが人妻の誘惑に負けてしまう映画なのか」と思ったんですが、そもそも本作の主人公はニコケイではありませんでした。

ニコケイ宅へ柵の修理にやって来たバディ。しかし仕事が終わらないうちにハリケーンが来てしまい、バディはニコケイ宅へ泊る羽目に陥ってしまう。しかもニコケイは妻のファンシーを殺せと依頼してくるわ、ファンシーは誘惑してくるわとバディは2人の間でいいように翻弄される。
彼らは一体何を企んでいるのか?


てな話なんですが、ニコケイたちの企みが何なのか分からないうちは非常に楽しめます。
退役軍人であるニコケイが政府に対する恨みつらみを持っていたり、バディ自身も軍人時代に悲惨な目にあった過去を持っていたり。妻ファンシーが白血病だから苦しむ前に殺してやりたいんだ…とか語ったり、怪しげな地下室があったり…と不穏な要素のバラマキ方は悪くないんです。
いつものニコケイ映画より数段いけてるかも!?と期待させる雰囲気があるんです。

しかしその幻影は、真相の開陳と共にもろくも崩れ去ってしまいます。
いやもうほんともろすぎる。

「ベトナム戦争であんなひどい目にあったのに何の報いも無いんだ!」

とか今更ランボーみたいな主張をしたいニコケイと、単に「大家族を作りたかったのに子供が産めない体だった」ことで子供や若者を誘拐監禁していたサイコ妻ファンシーの行動が噛み合ってないというか、とっ散らかり過ぎの印象。


サスペンスならサイコ妻ファンシーの方に焦点を当てるべきだろうと思いますが、そっちはむしろかなりテキトーでなおざり。それより最後まで戦争の傷跡にこだわるニコケイに重点が置かれており、正直意味不明です。バディの軍人時代の秘密にこだわってたけど結局大した意味も無いし、妻の奇行を容認していたことといい、一体何が望みだったのか。


軍服姿で現れて人質を取り、警察の銃弾を無数に浴びて斃れるニコケイには「またその死に方かよ!」と突っ込みたくもなる。「ラスト・パニッシャー」も全く同じでしたからね。俺はかっこよく死にたいんだ!というニコケイの願望が透けて見えます。これだから近年のニコケイ映画はどれを見ても同じような味わいになってしまうのだと思うんですけどね。まあいかにもテレ東好みの味ですし、いつか午後ローで入った時にボンヤリ眺めるのがよろしい作品ではないかと。


コメント

ジェニファー・寝盗るッス さんのコメント…
ああ…。
「フェイス・オフ」「コン・エアー」
の頃のニコケイは何処に…。
ハゲはそこまで退化していないように
見えるのに…。
クオリティの低下が著しいですね、
最近のニコケイ映画。
ヅラでも隠しきれませんよ…。
もう一度「ザ・ロック」みたいな映画
が見たいです〜。
頑張れ!ニコケイ!
岩石入道 さんの投稿…

本作を観るとニコケイの生え際は後退どころかむしろ前進しているくらいですし、演技力も変わらず高いと思います。
問題は作品を選ばないことでしょうね。
ニコケイ映画というジャンルが出来ていること自体
完全にB級化した証のようなもんだし…
当ブログ的にはもう見逃せない存在ですね。
切り裂きシンザ さんの投稿…
ニコケイは去年私の住んでる近所にロケに来てましたよ。居酒屋とかで目撃されてたみたいです。「プリズナー・オブ・ゴーストランド」って映画らしいですが公開はいつか知りません。エキストラも募集されてたんで応募してみましたが落ちましたw
岩石入道 さんの投稿…

それは実に興味深い話です。
ニコケイがロケに来るとは、さすが大都会滋賀県…(ですよね?)
しかもエキストラに応募とはアグレッシブなことをしてますね。
今年公開されるみたいだし、これは見逃せませんな。