「キル・ウィットネス」 感想(ネタバレあり) カネに汚い大人になってはいけない

概要

原題:The Pineville Heist
製作:2016年カナダ
発売:アマゾンプライムビデオ
監督:リー・チェンバーズ
出演:プレスリー・マッサーラ/プリシラ・アン・フォーダー/カール・ベイリー

銀行強盗の仲間割れから起きた殺害現場の一部を目撃した男子高生は、逃げる途中、500万ドルが入ったカバンを見つけ、近くの高校へ駆け込む。その事実を教師たちに告げるも、保安官は本気で取り合ってくれない。強盗犯に追い詰められた少年たちの、生き残りをかけたサバイバルを描く。
(↑アマゾン商品紹介より)

予告編





感想





プライム配信のカナダ産低予算サスペンス映画。安っぽいし、突っ込みどころは満載だし、主人公の少年の棒読みがちょっと気になります。穴だらけだけど、しかしトータル的にはそんなに悪くないです。そこそこ楽しめました。プライム配信のホラーはなぜかカスばかりですが、サスペンスはまあまあ当たりが多い…かもしれない。と言ってもなぜかサスペンスじゃなくてサバイバルアクション扱いされてますが。




財政破綻寸前のパインビル。大金持ちの権力者スティーブンスが街を買収しようとしていたが、それに伴い住民の半数が働く製粉工場の閉鎖を画策し、反発を招いていた。スティーブンスの息子アーロンはそんな父親を嫌っていたが、ある時銀行強盗の仲間割れを目撃してしまう。アーロンは彼らから500万ドルのカネが入ったカバンを盗み、教師と保安官にそれを届け出る。しかし、実は保安官こそが銀行強盗犯だった。


というような話ですが、主人公のアーロン君は大金持ちのドラ息子らしくかなりいけ好かない性格で、高校生のくせにポルシェ10台くらいは買える金を持っているらしいです。しかしまだ自由には使わせてもらえないので、強盗犯の500万ドルを頂いてしまおうと企みます。
とは言ったものの仲間割れの殺人を目撃して腰が引けたのか正直に保安官に渡そうとするのですが、そこで保安官が強盗犯であることに気付き、学校の中で教師のベッカーを巻き込んで追いかけっこが始まってしまう。

そのアーロン&ベッカーと保安官との追いかけっこが尺の大半を占めているのですが、肝心の保安官がマヌケすぎてどうも緊張感に欠けます。銃をバンバン発射しながら走り回る様子はまるで赤塚不二夫の描くおまわりさんのようです。さんざんすったもんだした末にようやくアーロン君を捕らえたのに、ニセのカバンという分かりやすいエサに釣られて逆に閉じ込められてしまうくだりなどはアホすぎて笑うしかありません。大体、学校の中であれだけ発砲してたらカネを取り戻したとしても一体どう言い訳しようというのか。謎です。

しかし、本作が描きたいのはそんな些末なことではなく。街を守るべき保安官がカネに汚いクソ共だったこと、片思いしていたベッカーも実はその仲間だったこと。それを知ってアーロンは傷つくが、同時にカネに汚いと思われていた権力者の父親が実は本気で街を救おうとしていたことも分かり、痛みを乗り越え成長する……ということなので、細かい突っ込みどころはスルーしてもいいかなと思います。

まあこういう青臭い成長物語が好きかと言われると別にそうでもないし、どちらかと言えば私もカネが欲しい汚い大人なんですが、「アミティヴィル・アサイラム」みたいなZ級クズホラーよりは1000倍有意義な映画だと思いますので、プライム会員なら観ておいても損はしないでしょう。

コメント