「ブラインデッド」 感想(ネタバレ) 盲人と妊婦に優しい模範的ゾンビ

概要

原題:Dead Sight
製作:2018年カナダ
発売:アルバトロス
監督:ジェシー・トーマス・クック
出演:アダム・シーボルド/リヴ・コリンズ/ライ・バレット

救急車の中で目を覚ました盲目の男ベン。彼はなぜか手錠で繋がれており、記憶がなかった。ゾンビ化した救急隊員に襲われたベンは無線で助けを呼び、近くの民家へ逃げ込む。しかしその民家にもゾンビがいた。そしてSOSを聞いてやってきたのは、妊婦の警察官だった。

予告編



感想


盲目の男と妊婦のコンビを主役としたゾンビ映画。
そう聞くと、「盲人や妊婦が現実の社会でいかに苦労して生活しているか」をゾンビというフィルターを通して描いているのではないかと思いましたが、全然そんなことはなかった。ただ単にゾンビ映画の主役が圧倒的弱者だったら生存難易度が上がって面白いんじゃね? という短絡的なアイデア一発勝負なだけでした。
まあ、確かにゾンビ映画としては耳目を引く設定ではあります。「ブレインデッド」に便乗した邦題もなかなかうまい。これはレンタルしたくなるでしょう。



しかし、その実態はたった80分ちょっとしかないにも関わらず非常に間延びしており死ぬほど眠たい腐れゾンビ映画でした。何しろ脚本があまりにも貧弱すぎる。盲人の男ベンが一人でウロウロウロウロしているだけのシーンが長すぎてほとんどそれしかなかったような印象。これじゃアマプラで無料配信してる有象無象と大差ないですよ。

盲人を主役にしたはいいが、明らかにやることが何も思いつかなくてダラダラと適当に間を埋めている。アイデア一発勝負の勢いだけで長編映画を作ろうとするからこうなるんじゃないですかね。虚無的なシーンを圧縮すれば5分くらいの短編映画にできそうだし、そうした方がずっと面白くなると思います。

盲人と妊婦がコンビを組むといっても、ほとんどが別々に行動しているので会話もろくになく、ストーリーが何も見えてきません。ベンがはじめ手錠で繋がれてるので何か訳ありなのかと思いきや、全然大した掘り下げもない。


ではゾンビとの戦闘シーンはどうなのか。何しろ主役が盲人と妊婦なのでゾンビも全力で襲い掛かってくることはない。1体か2体で散発的に近寄ってくるだけなので、ゾンビ側で優しく手加減してあげてる感が否めません。実は生前の社会規範意識が残ってるという設定だったら面白いかもしれませんが。
ベンたちが知恵と根性で生き残っているというより、都合よく生かされている感じがします。途中で斧とかナタとか武器を手に入れるのにゾンビを1回倒したら捨ててしまうのもいかがなものかと思うし、ベンは目が見えないわりにかっこよくヘッドショットを決めるのも何だかなあと。

ゾンビの発生原因が「カゼの予防接種」ってのも下らなくてアレだ。いや別に何でもいいと言えば何でもいいんですが、あんまり投げやりなのもどうか。登場人物だけでなくゾンビ自体もどうでも良さげな薄っぺらさを感じさせてしまう。

ということで、奇異な設定にも関わらず明日には忘れてしまいそうなゾンビ映画でした。

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