概要
原題:Soy tóxico
製作:2018年アルゼンチン
発売:アメイジングD.C.
監督: ダニエル・デ・ガ・ヴェガ
出演: エステバン・プロル/ホレイシオ・フォントーヴァ/セルジオ・ポデレイ/ガストン・コチアラーレ/フィニ・ボッキーノ
2101年、世界は細菌戦争により崩壊し、ドライ・ピープルと呼ばれるゾンビが蔓延する弱肉強食の荒野と化した。そんな中、記憶を失い荒野をさまよう男がいた。彼はギャングに捕らえられ、わけもわからず厳しい拷問を受ける。彼の失われた過去には一体何があったというのか…。
予告編
感想
世紀末の荒野に《最強》ヒロイン、覚醒―
ってことでジャケでは少女が2丁拳銃を構えていますが、そんなシーンはありません。
2101年なので世紀末でもありません。
さらに全然《最強》でもない…っていうか戦闘自体ほぼしないし、むしろ弱い方でしょう。別に覚醒もしない。主人公は記憶を失ったオッサンなのでヒロインとも言い難い。
これもマッドマックスのようなヒャッハー系アクション、またはバイオハザードのようなスタイリッシュゾンビアクションのように見えますが、実際はアルゼンチン産らしくばばっちくて泥臭くて地味な人間ドラマです。
それにしても南米産のホラー系はどれも本当にキタナイ。どいつもこいつも20年ぐらい水浴びもしてなさそうな風体で全身砂埃まみれだし、豚のフンまみれになったりもする。ギャングが飲み水に痰を吐いて記憶喪失のオッサンに渡したらグビグビ飲んじゃうシーンなど無駄に気色悪くて吐き気を催しました。ツナ缶みたいなのをホコリまみれの床にぶちまけてしまい、かき集めて食べる場面もなかなかの生理的嫌悪感。これが毎日風呂に入らないと気が済まない潔癖な日本人だったらゾンビに襲われるまでもなく死んでます。
ゾンビはカサカサに乾いてるんでそこまで汚らしくないのが救いですね。乾燥ノロノロ系ゾンビは最近あまり見ないタイプで目新しいかも。まあ、そもそも出番があんまりないんですが。股間を撃たれて悶絶するゾンビが唯一印象に残ったくらいでした。
本作のメインは記憶喪失のオッサンがなぜギャングに追われる羽目になっているのか、なぜギャングの少女が助けてくれたりするのか、過去に何があったのか、ということなのでゾンビは添え物に近い感じです。極限状況で家庭を崩壊に追いやった父親に抱く複雑な感情を表現しているのかなと。
ただ、その辺の人間ドラマも公式のあらすじで9割方ネタバレしちゃってるというね。昨日の「クイーンギャング」も全く同様だったんですが、一部の配給会社はジャケ詐欺+ネタバレの複合攻撃で容赦なく視聴者の楽しみを削いできます。もうジャケットも何も見ないでタイトルだけで判断して借りるしかないですね。そのタイトルもデタラメ邦題だったりするともうどうしようもありませんが。ちなみに本作の英題は「I am toxic」です。
正直言って本作はネタバレ云々以前にいまいちつまんなくて襲い来る眠気と戦いながら鑑賞してたんですが、デブのギャングがゾンビ相手に調子に乗りすぎてコケてフックが刺さるシーンだけは大笑いでした。基本シリアスな映画なのに突然笑いをねじ込んでくるスタイルは嫌いじゃない。全体的に面白くはなかったけど、そこそこのインパクトはある作品でした。
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