「ダーク・スター」 感想 我思う、故に我あり

概要

原題:DARK STAR
製作:1974年アメリカ
発売:TCエンタテイメント
監督:ジョン・カーペンター
出演:ダン・オバノン/ブライアン・ナレル/ドレ・パヒッチ/カル・ニホルム/ジョー・サンダース/マイルス・ワトキンス

乗組員4人を乗せた宇宙船ダーク・スター号は、不安定惑星を爆破する活動を行っていた。だが、ある時宇宙嵐に遭遇し船のどっかが故障。20号爆弾がしきりに爆発したがるようになる。さらに、ペットとして飼っていたエイリアンが逃げ出すトラブルまで発生してしまう…

予告編



感想





ジョン・カーペンター監督とダン・オバノンの長編デビュー作。
1974年製で彼らが学生の時に作った自主制作映画だそうです。
私はカーペンターファンですが、これはまだ観たことが無かった。これもなぜか最近プライムで配信が開始されたので今更ながら鑑賞してみました。



さすがに半世紀近く前の超低予算作品とあって今見ると相当にショボイです。
出てくる乗組員は全員ヒゲモジャのヒッピーみたいなむさい野郎共だし、宇宙船内は異様にチープなうえに死ぬほど狭いし、その割にはえらい高さのエレベーターがあるし、エイリアンは大きいビーチボールにトカゲの足みたいなのがついてるだけでまるでキラートマトみたいなクオリティだし…

ストーリーもほとんどあってないようなもので、どうでもいいコントをつなぎ合わせたようないい加減でテキトーな雰囲気です。かと思えば突然哲学的な問答が始まったりする。それも爆弾と。爆弾にわざわざ人工知能を持たせてるのはユニークで面白い。

ジョン・カーペンターとダン・オバノンがこんなしょうもないユル~いSFコメディを撮っていたとは驚きですね。私の中でジョン・カーペンターの最高傑作は1976年製作の「要塞警察」で次点が1978年の「ハロウィン」なんですが、どうも製作時期が近い割にはそれらのシリアスな傑作とユルユルな本作のイメージが結びつかなくて困る。

ただ宇宙船内で逃げ出したビーチボールのエイリアンをダン・オバノンが追跡するくだりは後年の「エイリアン」に通じるものが多少感じられなくもない。どう見てもただのボールなのでかなりアホくさいというかキラートマトっぽいし、ダン・オバノンがエレベーターにぶら下がってるシーンが異常に長くて、もうどうなってんだこれと文句を言いたくはなりますが「エイリアン」の原型だと思うと興味深い。ダーク・スター号の貧乏くさい内装とか作業服姿の船員もノストロモ号の元になっているっぽい感じ。

爆発したくてたまらない爆弾と爆発してほしくない乗組員との哲学的問答の後、結局爆発してしまい、飛ばされた船員がなぜか宇宙船の破片でサーフィンするというシュールなエンディングはインパクト抜群。この映画を唯一無二なものとしています。

また、「エイリアン」だけでなく「物体X」にも通じる要素が見て取れたり、コメディとしても多少笑えるシーンもあったかなといったところで、古臭くてしょうもないけど今見てもまあそこそこ楽しめる作品でした。

コメント

切り裂きシンザ さんの投稿…
ジョン・カーペンターですか・・たしかに「要塞警察」はいいですよね、でも私としては「ニューヨーク1997」を推したいw あと「ゴースト・ハンターズ」とか・・ 「クリスティーン」も好きだな。「ゴースト・オブ・マーズ」とか勢いだけの感じも悪くないw まあジョン・カーペンターは偉大だということで!
岩石入道 さんの投稿…
「ニューヨーク1997」ですか…実はこれも見そびれたままなんですよ。いずれ見ないといけませんね。「エスケープ・フロム・LA」の方なら昔地上波で見たんですが。「ゴーストハンターズ」と「クリスティーン」は昔過ぎて忘れちゃったなあ…「ゴーストオブマーズ」は当時何だコリャwという感想でした。私としてはあと「世界の終わり」を推したいですね。いまいちマイナーな気がするけど。