「スケアクロウ トウモロコシ畑の獲物」 感想 愛すべき駄作

概要

原題:Scarecrows
製作:2017年カナダ
発売:プルーク
監督:スチュアート・ストーン
出演:ハンナ・ゴードン/マイク・テイラー/ウメド・アミン/マオール・ジフ/ジェイソン・J・トーマス

田舎のトウモロコシ畑のそばにある湖へと遊びに来た学生4人組。存分に羽目を外してさあ帰ろうとしたら車が盗まれていた。彼らはトウモロコシ畑の主に助けを求めて侵入するが、なんとその畑の主は侵入者を恨み、生きながらカカシに仕立ててしまう恐ろしい復讐鬼”カカシ職人”であった…

予告編



感想


2017年のカナダ製スラッシャーホラー。
トウモロコシ畑でアホ学生たちが殺人鬼に生きながらカカシにされていく…っていうだけの超シンプルな内容。特にひねりも何もないうえに全体的にゆるい。まあ駄作と言ってしまっても問題ない程度の作品です。でも嫌いにはなれない。というかホラーファンはみんな幾つになってもこういうアホっぽいのが大好きでしょう。もちろん私もです。



殺人鬼の登場までがちょっと長いんですが、アホ学生のアホっぷりが面白くてわりと退屈はしません。このように極限まで知能指数を下げ切った人間ドラマ(?)は好感が持てます。おバカなパリピを描かせたらアメリカの右に出る国はないと思ってましたが、最近は「アクアスラッシュ」といいカナダがやけに頑張ってる感があります。カナダはもっと上品な国だと思ってたけど、私の中でアメリカと同レベルの存在に堕ちつつある。いい傾向だ。

こういうスラッシャーものでは貞操観念の薄い順、知能指数の低い順に殺されていくという法則がありますが、本作は全員アホすぎるので漏れなく全員カカシにされるんだろうな…というのが事前に分かる親切設計。ヒロインのアッシュだけはややマシではありますが。

で、本作の殺人鬼「カカシ職人」(byプルーク)は生きた人間をカカシにすることにこだわっているようです。カマとかで適当にスラッシュしていくわけではない。工程としては、まず口を縫い合わせてしゃべれなくしてから腕を板に釘で打ちつけ、ズダ袋マスクを被せれば完了。

どうでもいいけど、最近口を縫われるホラーが多いなと。ここ1か月だけでも3本くらいありましたからね。一種のトレンドなのかな? 本作の場合、縫われてもむりやり叫ぶシーンがあってなかなかの痛々しさでした。また、腕を釘で打たれるシーンもかなりの痛々しさ。吹替声優の熱演が耳に刺さります。

ただそれで人間カカシ化は完了してしまい、つまり残酷描写もそれで打ち止めなので最近のゲオ独占ホラー「ザ・デア 理由なき監禁」なんかと比較すると物足りなくはある。結局釘を打つシーンも一本分しかないし。

ところで言うまでもないことですが、カカシって作物をカラスなどから守るために設置するもんですよね。しかし本作は人間をカカシ化してるせいで逆にカラスのエサになっています。これでは本末転倒ではないか。カカシを作れば作るほどカラスの群れがやってくる。カカシ職人はなぜ人間をカカシ化しているのか?という理由は多少匂わされるものの深追いはなし。まあ細かいことを気にしても仕方ない。こういうしょうもないスラッシャーホラーを見て、頭カラッポにしてストレス解消することも現代人に欠かせない嗜みと言えるでしょう。

コメント