「ナイト・ウォッチャー」 感想(ネタバレあり) 学習のための監視を許せるかどうか

概要


原題:The Night Clerk
製作:2020年アメリカ
発売:カルチュア・パブリッシャーズ
監督:マイケル・クリストファー
出演:タイ・シェリダン/アナ・デ・アルマス/ジョン・レグイザモ/ヘレン・ハント

アスペルガー症候群を抱えるバートは、ホテルのフロントで夜勤をしていた。バートは正しいコミュニケーションを学ぶために客室に隠しカメラを仕掛けて日々観察していたが、ある時女性客が射殺される場面を目撃してしまう。

予告編


感想






サスペンス映画かなと思ってレンタルしたらすごく恋愛映画っぽくてゲンナリしたけど我慢して最後まで観たら実は結構サスペンスしてたというパターン。

恋愛映画ってどうも苦手なんですよね。私が恋愛経験に乏しいからなのかもしれませんが、そんなこと言ったら殺人経験にも乏しいのにスプラッターホラーは大好きなんだから経験値はあまり関係ないはず。やはり感性の問題か。



アスペルガー症候群を抱える青年バートはホテルのフロントで働きながら、客室に仕掛けた隠しカメラでコミュニケーションを学んでいた。だがある日客室で殺人事件が起き、バートも疑われてしまうが隠しカメラのことは言えなかった。その後、バートは美しい女性客アンドレアと知り合い親しくなるが、アンドレアが殺人犯と深く関わっていると気づいてしまう。

主人公バートがアスペルガー症候群っていうのが、どうも客室を盗撮していることの言い訳に感じる…というかいくらアスペルガー症候群でもそれはイカンだろうと思います。ヒッチコックの裏窓的なものを狙ったのかもしれませんが、違法性が高い。

で、バートは殺人事件の容疑者にはならずに済むものの、盗撮していたことは警察にバレてしまう。と言っても大した追及もされないし、警察の捜査が描かれるわけでもない。

本作は一見殺人事件とかそんなことよりバートがホテルで出会った美しい女性アンドレアとの恋愛劇がメインのように見えます。バートは挙動不審だがアンドレアの弟も同じだから理解があるという設定。アンドレアは不倫しているくせにバートを誘惑し、何だかんだイチャイチャし出すけど微妙に不穏なムードも出してきます。この辺が観ていて非常にしんどいというか眠い。

バートはアンドレアの気を引くために美容室へ行き、香水を付け、車まで買い替えてしまう。だけど、その車がヒュンダイのアクシデント…いや、アクセント(多分)なのがちょっと悲しい。古い車の方がマシだった。しかもいざ新しい車で迎えに行くと、アンドレアの不倫現場を目撃してしまう。これまた悲しい展開。さらにその相手は隠しカメラで見た殺人犯で…

…というところからもっとサスペンス感を出していってほしかったんですが、まったりした恋愛映画的ムードのまま進むのでやっぱり眠たい。と思っていたら一見ただ恋の駆け引きをしていただけに見えたバートとアンドレアが実は水面下で殺人犯を巡って別の駆け引きがあったと判明。

そこは驚いたしサスペンス的にも面白いとは思いましたが、いかんせんそこに辿り付くまでがダルすぎました。ミステリーとかサスペンスってオチで驚かせるために色んなものを伏せておかなきゃならなくて、そのせいで途中経過がつまらなく見えてしまうことが多々あると思うんですよ。本作はサスペンスとしてだけじゃなくてバートの成長物語という面もありますが、そういうノンビリマッタリした話を微笑ましく眺めるような、そんな目線を持てる人じゃないと厳しいんじゃないかと思いました。

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