概要
原題:Under water製作:2020年アメリカ
発売:配信のみ
監督:ウィリアム・ユーバンク
出演:クリステン・スチュワート/ジェシカ・ヘンウィック/T・J・ミラー/ヴァンサン・カッセル/ジョン・ギャラガー・Jr/ママドゥ・アティエ/ガンナー・ライト
海底1万mにある研究施設で働いていたノラは、ある時突然海底地震による施設の崩壊に巻き込まれる。かろうじて生き残ったノラと仲間たちは海底を歩いて別の施設へ向かおうとするが、その途中スレンダーマンのような未知のバケモノに遭遇するのだった。
予告編
感想
一言でいうと深海版「ゼロ・グラビティ」にクリーチャーをトッピングしたような映画。
配信限定だったのでてっきり低予算作品なのかと思いきや、猛烈にお金がかかってそうな豪華な映像で驚きました。調べてみたところ本作の製作費は驚愕の8000万ドルとのこと。海底でスレンダーマンみたいなクリーチャーが襲ってくる映画に8000万ドルとな。ちょっと頭がどうかしているのではないか。さすがアメリカはスケールが違いすぎます。
にしても、それだけの超大作をなぜ全国で劇場公開しないどころかDVDすら発売せず、ひっそりと配信のみで済ませているのか。しかもアマゾンプライムでは今のところ字幕版が無く、吹き替え版しかないという有様です。
始まって3分もしないうちに海底の研究施設が崩壊し、いきなりド派手な危機に巻き込まれる主人公ノラ。余計な前置きやチンタラした人間ドラマなど不要、とばかりに次々と襲い来る危機また危機。ディザスターパニックとしてはまあアリでしょう。そのまま深海版「ゼロ・グラビティ」みたいな映画として最後まで突っ走っても良かったんじゃないかと思いました。ただ、宇宙と違って深海は暗く濁っていて非常に見づらく状況が把握しにくいのが難点でしたが。
後半から出てくるスレンダーマンみたいなクリーチャーはかなり微妙です。ちなみにスレンダーマンみたいだという形容は作中の人物によるものですが。いや、外見は別にスレンダーマン風でも何でもいいんだけど、生態や行動に何の特徴もないのがいただけない。ただ何となく襲ってくるだけなんです。
ノラたちも「どうすればやつらに対抗できるのか?」という作戦を練るでもなく弱点を探るわけでもなく、ただただ逃げ回るのみ。これではクリーチャー映画としての醍醐味がまるでありません。アメリカで興行収入1700万ドルそこそこと大惨敗を喫したのもうなずける。
これだったらスレンダーマン風のクリーチャーなどではなく、深海の巨大サメが襲ってくる映画にした方が確実に面白くなったでしょう。あのクリーチャーには大した脅威を感じませんでしたからね。あんなのより深海の水圧の方が恐ろしいし、そこにサメの牙が加わればより分かりやすく恐怖を演出できたんじゃないでしょうか。ただ、サメ映画ではせいぜい数十~数百万ドル程度の予算しか取れないという致命的な問題はありますが。
何だかボロカス言ってしまったようですが、さすがに莫大な金をかけただけあって海底施設が崩壊していく映像はかなりの大迫力です。これは劇場の大画面で鑑賞するべき映画でしょう。それならもっと楽しめたと思うんですが、家の小さなモニターで見なきゃならんというのが実に惜しい。内容も配給形態も色々ともったいない、微妙な映画でした。
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