「グッドボタン 暴走する若者たち」 感想 インスタ女子の中傷合戦

概要

原題:InstaPsycho

製作:2020年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:ニック・エヴァハート

出演:マッケンジー・ヴェガ/ローラ・スレイド・ウィギンス/ウィル・ペルツ/ケイティ・チャン


マディとケリー、エヴァの仲良し女子高生3人組は、何でも持ってるスクールカースト上位のサーシャが気に喰わなかった。彼女らはインスタグラムで「サーシャ消えろ!」とタグを付け、中傷動画を投稿する。だが3人のうちケリーの行動がどんどんエスカレートしていき、ついには死者まで出してしまう。


予告編

感想



「”いいね!” を求め、若者の欲望が暴走」


インスタグラムを使った高校生のネットいじめを題材にしたサイコスリラー。


ちょっと前までの私なら「いいね」なんかそんなに欲しいもんかなあ~と疑問に思っていたところですが、最近はツイッターをやっているのでほんの少しだけその気持ちが分かるような気がします。といってもフォロワーは少ないし、ほとんどブログ記事更新のお知らせしかつぶやいていません。なので大して多くの「いいね」をもらえているわけではないんですが、たとえ2~3いいねだったとしてももらって悪い気分ではない。もし何かの拍子でバズって万単位のいいねなどもらおうものなら、さぞかし脳内麻薬がドバドバ出ることでしょう。物心ついた時からスマホをいじっているようなデジタルネイティブが”いいね”を求めて暴走するのも仕方がないことかもしれません。



ただ、本作が描いているのはスクールカースト最上位と中位?によるインスタを通じた陰湿極まりない不毛な中傷合戦です。登場人物のほとんどが女子高生というのもあり、これはさすがに理解不能な領域。ついでに言うと、女子高生がケバくてあんまり女子高生に見えません。アメリカの高校はケバい女子が醜い中傷合戦を繰り広げる地獄のような世界なんだろうか…。もしそんなところに生まれてたらうまくサバイブできずナードに堕ちるしかなさそう。



主人公のマディは、親友のケリーがカースト上位のサーシャを嫌っており「サーシャ消えろ!」などとインスタに投稿しているのを見てつい便乗してしまう。ケリーの行動は次第にエスカレートし、いいねをもらうため崖の上でパフォーマンスしながらもう一人の友人エヴァと撮影。するとエヴァがうっかり転落死してしまう。ケリーはエヴァの死すらサーシャにおっかぶせようと画策するが…



という内容ですが、このインスタグラムを利用した最先端イジメについていくのが大変です。気に入らないカースト上位の女の子に対して「サーシャ消えろ!」と動画で主張する。陰湿は陰湿だが、そのわりにメッセージがストレートすぎます。別に匿名で投稿してるわけでもないし、面と向かって言うのと何が違うのか。やっぱり過激なパフォーマンスと共に主張して「いいね」をもらうことが重要なのかな。それにしても、「消えろ!」と言われても一体どうすれば満足するのか分かりませんが。



というか、このカースト上位のサーシャはもともと特に何か仕掛けてきたわけでもないので、ケリーによる中傷攻撃がかなり一方的なものに見えます。カースト云々関係なくただのネットいじめにしか思えない。それに便乗しちゃうマディとエヴァも痛々しく、パフォーマンスが行き過ぎて命まで落としてしまうのは実にアホ臭く不愉快な展開です。しかもその責任をいじめ対象のサーシャに着せようとするのだからますます胸糞が悪い。そこまでいくといじめっ子を通り越してサイコパスです。



そこから先もおいおいふざけんなよと言いたくなるぐらい胸糞悪い展開が続いていき、「いいねを求める若者の暴走」というよりは単にケリー個人がイカレてるとしか思えない話に。その辺はちょっと不満だし、罪の着せ方が雑だし、まとめ方も安易すぎるのでは…とか気になる点も多々ありましたが、トータル的にはまあボチボチ楽しめる作品でした。


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