概要
原題:TAILGATE
製作:2019年オランダ
発売:アルバトロス
監督:ルドウィック・クラインス
出演:ユルン・スピッツエンベルハー/アニエック・フェイファー/ウィレム・デ・ウルフ
ハンスとその家族は車でおばあちゃんの家へ向かっていたが、時間に遅れそうだったので制限速度を超えて走っていた。途中、ハンスは追い越し車線をダラダラ走るバンに苛立ちを覚え、煽りまくった揚げ句追い越しざまに挑発してしまう。だが、そのバンに乗っていたオッサンは恐ろしいキ〇ガイであった…。
予告編
感想
…という、古くは「激突!」から近年では「ロードキラー」まで散々やり尽くされたであろう煽り運転防止啓発スリラー。
しかし本作は既存作にはない変わったネタがてんこ盛りで非常に楽しめました。
まず煽り運転してしまう主人公のハンスがとんでもないドチンピラのクソ野郎です。奥さんと小さい娘が二人同乗してるのにあの煽りっぷりはない。車で実家に向かっているのですが出発時刻が遅れたらしく、始めから必要以上にイライラピリピリ。終始奥さんと怒鳴り合ってるし、娘たちは娘たちでしょうもないことでギャースカ喧嘩するわ、食べ物を窓から投げ捨てるわとロクな家族じゃありません。観てるとイライラを通り越して笑えて来ます。
そもそも家族を乗せて140キロオーバーで運転するとはいかがなものか。スピードだけでなく危険運転しまくり。よほどの事情があるならまだしも、たかが実家に帰るだけでなんでそんなに急がねばならんのか。
しかもあれだけサイコ親父が乗ってるバンを煽りまくって挑発して追い越ししておきながら、そのすぐ後にガソリンスタンドでのんびり給油してハンバーガーを食ってるというわけのわからなさ。急いでいるのかそうでもないのかどっちなんだ。
こんなド腐れチンピラ一家には天誅を下すべきです。
ハンスより煽られたサイコ親父の方に肩入れしたくなってきます。
ところでこの手の映画は車で追って来てそのまま車で攻撃してくるのが普通ですが、本作のサイコ親父は車を停めてのんびり準備してから攻撃してくる。煽り運転はただのきっかけに過ぎず、あまり「ロード・インフェルノ」ってほど路上でのチェイスシーンはなかった。
本作で追ってくるサイコ親父は全身防護服を着て除草剤か何かの薬剤を噴射してくるというユニークな奴です。どんな薬だか分からんから逆に緊張感があります。直接浴びても水ぶくれと吐き気を催す程度なのでそこまで強い毒性はないようですが。
しかも本人に噴射するだけでは気が済まず、実家に先回り。煽り運転するようなバカ息子を育てた責任をしっかり親にまで追求してくれます。確かに息子をあんなドチンピラに育ててしまった両親も罰せられるべきでしょう。
でも、ハンスの娘たちには罪が無いのでしっかりケアすることを忘れない。
キ〇ガイがキレて見境なく暴れているのではなく、あくまで冷静にサイコ親父なりの倫理観とルールを持って行動している感じが印象的でした。
ハンスは威勢だけはやたらいいから当然クライマックスではサイコ親父と直接対決するのかな、と思ったら最後までただただ醜態を晒しているだけの超絶ダメ人間だったのは驚きました。心の底までドチンピラだった。どんな薬剤なのか分からんけども、そこまで強い毒ではないんだから少しぐらい立ち向かえば良かったのに妻子を置いて逃げたり、妻子が安全地帯にいると分かったらなりふり構わずそこへ入ろうとしたりと見苦しいことこの上なかった。この手の映画で主人公側の反撃が一切ないというのは実に珍しいです。
まあ、多少トロい車が前を走っていたとしても煽ったりすんなよってことですね。
コメント
>クソ親父
『アオラレ』ゴミ女ですら怒鳴るのやめたのに、
こいつ最後の最後まで何も化学変化起こしませんでしたね
最後、窓から来ないで言ってんのに窓から上ってワーワー泣くのに、
威厳が落ちて家族崩壊なんて描写も無くて、何をしたかったんだろう
母親もかなと思ったけど運転シーン以外は理解出来る感じ
だが親父テメーはダメだ、少女は可愛かった(顔だけ)
バンが背後から迫り暗転『ドン!シュコシュコシュコ…(薬剤準備の音)』
最後のこれがやりたかっただけかな
まあ、オランダ映画ですからね。
主人公が作中でまったく成長することがなく、そのせいで後半になってもいまいち盛り上がりに欠ける何とも言えない煮え切らなさには欧州的な匂いを感じました。
おっしゃる通り何匹目のドジョウかわからないぐらい類似作が作られてるだけに、わざと色々ひねくれた風にしたのかなーと。