「カウントダウン」 感想 利用規約はちゃんと読め、という話

概要

原題:Countdown

製作:2019年アメリカ

発売:カルチュア・パブリッシャーズ

監督:ジャスティン・デック

出演:エリザベス・ライル/ジョーダン・キャロウェイ/タリタ・ベイトマン/ティシーナ・アーノルド/P・J・パーン


とある若者たちが「カウントダウン」というスマホアプリを見つける。それは使用者の余命を教えてくれるアプリだった。誰もそれを信じていなかったが、余命3時間と出た女の子が予言通りに死亡し、彼氏も死にかけて入院する。それを聞いた看護師のクインは自分でも試しにやってみるが、出た余命は残り3日もないのだった。


予告編

感想



余命が分かるアプリを入れてみたらあと3日もなくてどうにか回避できないかと右往左往するというティーン向けのライトなホラー。設定はキャッチーだし映像は劇場公開クオリティのA級なのでまあまあそこそこ楽しめますが、明らかに「ファイナル・デスティネーション」「リング」の上澄みを掬って混ぜたような軽~い作りでオリジナリティには欠けるしマニア的には物足りなさを否めない作品。



ところでこの「余命が分かるアプリ」ですが、ちょっと前にSNSで似たようなサイトが流行ったんですよね。そこは使用者の各種パラメータと生活習慣やストレスについての質問にいくつか答えることでわりとまじめに余命を予測するタイプのサイトだったんですが、それによると私の余命は残り12年ぐらいでした。ツイッターを見てるとほとんどの人が30~70年と長い余命報告がなされてる中、私はたったの12年。酒もタバコもやらないのにどうしてこんなに短いのか。メンタル弱いからか。本作で周囲が残り何十年と出て笑ってる中、自分だけ残り3日と宣告された主人公クインほどではありませんが、まあ似たような気分になりましたね。



このアプリ、残り3日もないってことは明後日のあの用事で死んでしまうのか?と本人的には死因に予想もついてしまう。で、その死の運命を回避しようとすると利用規約違反ってことで悪魔が直接襲ってくるようになります。これはもうどう見ても「ファイナル・デスティネーション」にそっくり。しかし、あちらと違って死に方・見せ方に何の芸も無いのが非常にもったいない。お子様向けホラーだから…とかそういう事情はどうでもいいからもっとこう「こんな死に方だけはしたくない!」「大人しく死の運命を受け入れておくべきだった…」と思わせるようなグロさなりおぞましさなりを前面に出してくれないと、ただ悪魔に殺されますよ~ってだけじゃ今時のお子様もなかなか怖がってくれないんじゃないでしょうか。



そもそも、あの悪魔はなんでわざわざあんなアプリを人間界にバラまいてんですかね。プログラムを勉強してまでさ。寿命が長かった奴は安心するだけだし、短かった奴はクインたちのように無駄に抵抗しちゃうわけだから悪魔からすると手間が増えるだけで何もいいことないんじゃないか。別に悪魔が不当に寿命を短くしてるわけでもないし。規約違反さえしなければ本当にただの親切なアプリです。60ギガバイトもあるからめちゃくちゃストレージを圧迫しそうだけど。でもダウンロードは一瞬なのが悪魔的。


こういうネタで背後にいるのが「悪魔」っていう時点でホラー映画としては非常に安易な感じがしますし、それならそれで「バトル・インフェルノ」みたいに悪魔側のメリットなり何なりの描写まで踏み込んでほしいかなと。



あとクインは看護師で、新しく入った病院で上司の医師からセクハラパワハラを受けたり何だりともめ事が起こるんだけどこれって必要なイベントだったんですかね? 確かに「悪魔の死亡予告時間を裏切れば呪いは無効になるはず」と言い出して本来寿命が長かったはずのセクハラドクターを殺そうとするくだりは本作で唯一オリジナリティを感じる展開でした。が、結局やらんしセクハラされかけたからと言って殺していい存在とまで見なしていいものかどうかはちょっと疑問です。


またポリコレ的なアレなんでしょうけど、セクハラドクターを始め白人男性は大体クズ野郎なのにたまたま知り合った黒人男性はすごくいい人で出会って1日で恋に落ちる、というのも何だかわざとらしい。そんなことに気を使わなくちゃいけないのは大変だなあとは思いますが、あんまり露骨すぎてもね。


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