「アフリカン・カンフー・ナチス」 感想 混沌を極めた奇跡の傑作

概要

原題:African Kung Fu Nazis

製作:2019年日本・ガーナ・ドイツ

発売:配信のみ

監督:セバスチャン・スタイン

出演:エリシャ・オキエール/セバスチャン・スタイン/秋元義人


第二次世界大戦後、ヒトラーと東條英機は潜水艦でガーナへ逃亡していた。彼らはカラテと魔術でガーナ人を洗脳してガーナアーリア人とし、最強の軍隊を作り上げ世界侵略の礎としようとしていたのだ。


一方、ヒトラーたちに師匠を殺された影蛇拳の使い手アデーは、仇を討つために彼らの主催する国際格闘トーナメント大会に出場するのだった。


予告編

感想




何、これ?

メチャクチャおもしろいんですが?



酔っぱらったドイツ人と日本人が100万円握りしめてガーナに渡り作った映画らしいですが、下らなさが限界突破しております。世界大戦後にガーナへ逃れ、カラテパワーで年も取らなくなった東條英機とヒトラーがガーナアーリア人部隊を作って格闘トーナメント大会を開くとか…なんて楽しすぎるあらすじなのでしょう。ゲーリングもガーナ人。天才か。


しかしなぜか配給会社にはことごとく拒否られてしまい、日本ではアマプラとitunesでしか配信していないそうです。劇場公開してくれれば大ヒット間違いなしなのにな。ソフト化してくれれば1万円でも買うのにな。あ、でもプライムでも1000円で購入していつでも何回でも見れるようにできるのか。どうしよう。買っちゃおうかな…



それはそうと、なんでガーナなんでしょうね。しかし、出演者のガーナ人たちはみんな恐ろしく身体能力が高く、キレのある動きを見せてくれます。ただのバカ映画ではなく格闘アクション映画としてもかなり見応えがある。


ナチス×大日本帝国×ガーナという一見無謀な取り合わせが奇跡の化学反応を起こしスパーク。鉤十字を掲げてガーナ人に「天皇陛下万歳」を叫ばせるカオス。これは傑作と言う他ない。第二次世界大戦でポンコツすぎたせいで仲間に入れてもらえなかったイタリアはさぞかし悔しがっていることでしょう。



しかもこの映画、字幕がなぜか関西弁になっています。ガーナ人が影蛇拳とかいうわけのわからない中国拳法をやりながら「ヒトラーやて、変な名前やな」「ほんで大会のことは聞いたんか?」「あほんだらしばくぞ~」とか言ってるのを観てると下らなさ過ぎて笑うしかない。ここまで来るともはや癒し効果すらあります。やはりこの字幕を収録したDVDを発売してほしい。絶対買いますよ。コンマビジョンでも無理なんですかね?


ガーナと言えばチョコレート、カカオ生産国というイメージしかありませんでしたが、これからはガーナと言えば完全に「アフリカン・カンフー・ナチスの国」「ガーナアーリア人の国」という認識になるでしょう。



まあそんな感じで一見カオスの権化みたいなバカ映画ですが、その実ストーリーの基本的な流れは「師匠を殺された弟子が修行して敵の主催する格闘トーナメント大会に出て仇を討つ」という、カンフー映画としては非常にオーソドックスなもの。これでアクションのレベルも高いんだからつまらないはずがない。大会に出てる人みんなマッチョですごい。肥満体の女の子も強そうですごい。でも名前が「大きな黒人の女の子」ってなんだよ。



そしてラスボスポジの東條英機が作務衣を脱ぐと、ただのだらしないたるんだ中年男でもうね…。それまでとの落差がひどい。というか磯野波平に見える。しかしそこは謎のカラテパワーで光り輝く正拳突きを繰り出し、無理やり盛り上げてくれます。反則くさいけど面白いからいいや。


その後のヒトラー戦が格闘ではなく銃撃戦になったのは多少残念ではありますが、ここまで来たらもう何でもありです。何をしても面白いフィーバー状態に突入している。すごい。こんな奇跡のような面白いバカ映画はそうそう目撃できるもんじゃありませんよ。


ということで、少しでも興味の湧いた方にはぜひご覧になって頂きたいと思います。


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