概要
原題:ALONE
製作:2020年アメリカ
発売:アットエンタテイメント
監督:ジョン・ハイアムズ
出演:ジュール・ウィルコックス/マーク・メンチャカ/アンソニー・ヒールド
ジェシカは引っ越しのために田舎道を車で走っていた。その途中、トロトロ走っていた黒いジープを追い越すと、執拗に煽られずっと後を付けてくるようになる。どこまでも追ってくるジープに恐怖を覚えたジェシカは事故を起こし、ジープの男に連れ去られてどこかの山小屋に監禁されてしまう。
予告編
感想
ピーター・ハイアムズの息子ジョンが初めてジャン=クロード・ヴァンダムと関係ないオリジナル映画を撮ったということでちょっと注目していた作品。
「ユニバーサル・ソルジャー リジェネレーション」も「殺戮の黙示録」もそうでしたが、ストーリーはシンプルでセリフが少なく、ただ淡々と生きるか死ぬかの戦いをひたすら見せてくる作風は嫌いではないです。
内容はノロノロ運転の車を追い越したら実はそいつがサイコなドライバーで、延々追っかけてきて危害を加えてくる…という、実にありがちな話。この手の映画の代表である「激突!」や「ロードキラー」にせよ、こないだ出たばかりの「ロード・インフェルノ」にせよ、主人公側にも何らかの落ち度がある場合が多いです。よけいな挑発をして怒らせてしまったりとか。「あんなことしなきゃよかったのに」と少しだけ自業自得な面もあると思わせるのが普通。しかし、本作の主人公ジェシカには全く何の非もありません。本当にただ追い越しただけ。
あんなんでいちいちキレて付きまとって誘拐監禁までしてたらサイコドライバー側も身が持たないし何となく気まぐれで犯行に及んだとしか考えられませんが、犯人の背景とか動機はほんの少し匂わせるに留まっているのが気持ち悪い。何であそこまでしつこかったのかは最後まで何もわからない。かといってジェシカ側の人物描写もほとんどないので、本当にただサイコ野郎との攻防を描いただけという感じ。感情移入する余地もない冷徹さ。緊張感はかなりあって良いですが、逆に言うとそれしかない。
インパクトのあったシーンですが、森を裸足で走って逃げていた時に太めの枝がぶっ刺さる場面がとにかく痛い。痛すぎる。あの角度が嫌らしい。足の裏にあんな深手を負ったら私ならもう間違いなくその場から一歩も動けなくなりますが、その後も派手に動き回るジェシカのタフガイっぷりが凄い。それだけでなく銃で撃たれた後もかなり動いてたし、リアルな作風のわりには彼女がちょっと超人すぎたかもしれません。スーパーヴァンダミングアクションばかり撮ってた影響かな?
とはいえ、現実にストーカーを腕力で撃退した女性の話なんて聞いたことないし、やっぱあれくらいの人材じゃないとああいう状況を生き延びることは不可能なんでしょうね。私のようなひ弱な生物はノロノロ運転している車が前を走っていても追い越さない方が良さそうです。
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