「アンチ・ライフ」 感想 こういうのでいいんだよ、こういうので

概要

原題:Anti-Life/Breach

製作:2020年カナダ

配給:プレシディオ

監督:ジョン・スーツ

出演:コディ・カースリー/ブルース・ウィリス/レイチェル・ニコルズ/トーマス・ジェーン


西暦2242年、滅びかけている地球からニュー・アースに向けて最後の移民船が飛び立った。掃除係として何とか移民船に潜り込んだノアは、元軍人のクレイの下で働くことになる。だがその途中、人間業とは思えない殺人が発生。船内に狂暴な未知の寄生エイリアンが侵入していたのだ…


予告編

感想


去年9月の「アングスト」以来、久しぶりに映画館へ行ってきました。



なんせ洋画はどれもこれも延期延期で邦画とアニメしかやってなかったので…。そんな逆風の中、「ブルース・ウィリス VS 謎の生命体」なんてB級感全開の素晴らしいSFホラーを配給してくれたプレシディオさんには感謝しかありません。まあ都会より1か月以上遅れての上映ですが贅沢は言いますまい。まさか21世紀にもなってこんなポンコツ映画を田舎の映画館で観られるとは思いませんでしたよ。



いや、私としてはめちゃくちゃ好きなタイプのSFホラーでしたけどね。客が他に誰もいなくて私一人の貸し切り状態だったのが悲しいことに世間の需要を物語っています。ネットの評価もとんでもなく低いし。


まあ確かにツッコミどころしかないし目新しさも皆無だしでボロカスに酷評されるのもそりゃ分かるけどさ…。でもこういうの大好きだからどんどん作ってどんどん劇場公開してほしいと思うわけですよ私は。




内容は、地球を飛び立った移民宇宙船の中に狂暴な寄生エイリアンが!!って感じのすげえベタなやつです。しかもエイリアンに寄生された人間は人間の姿のまま襲ってくるし、わらわら増殖するので絵的にはむしろゾンビ映画に近い趣き。安い。これはとにかく安い! 本当によく全国劇場公開できたもんだなと感心しました。



これもブルース・ウィリスのおかげでしょうな。しかし主人公は実はブルース・ウィリス演じるクレイではなく、その部下のノアというムサイ男。まあそれでもブルース・ウィリスは最初から最後までちゃんと出ているのでまあよしとしましょう。あと何気にトーマス・ジェーンも出ているので低予算ホラーのくせに出演者だけは超豪華です。




で、ノアは掃除係なので一生懸命トイレの床などを拭いててブルース・ウィリスはただそれを見張ってるだけなんですが、2242年にもなって人力でそんなことをしなきゃならないとは悲しすぎる未来です。



ただ、モアエンサン?だか何だかいう超強力なトイレ用洗剤が開発されており、これは4リットルの水に1滴溶かして使うだけで汚れがサッと取れる便利アイテム。当然原液で使うと大変危険なシロモノです。気を付けて使わないと色んなものが溶けちゃいます。その割には管理が異常に無造作でしたが。まあ、こういうのは後々エイリアンに有効な武器として使えるよっていう伏線なわけですね。



なのに、ブルース・ウィリスたちはあろうことかそんな超強力な洗剤を原料にして密造酒を作って飲んでいる。「これがいい刺激になるんだよ」じゃないだろう。体が溶けるんじゃないのか。加熱したり発酵させれば無害になるのかな?と思いましたが、対エイリアン戦で使われるのは洗剤ではなくこの密造酒。これをぶっかけるとエイリアンは溶けてなくなります。やっぱり洗剤成分残ってるんじゃないか。



トイレ掃除係が洗剤とアルコールを合わせたものをエイリアンにぶっかけて宇宙船をお掃除していくってことで実はコロナ禍に引っ掛けた何かのメタファーか? という深読みが出来ないわけでもなさそうですが、まあ多分そこまで考えられてはいない映画でしょう。正確には密造酒を燃料に火炎放射器で戦ってるし。そのままかけた方が楽だと思うんだけどな。



ひとつ不満だったのはエイリアンの正体が明かされそうで明かされなかったことですね。持ち込んだ奴がせっかくゲロりそうだったのになぜ寸止めするのか。いやもうそこまで言ったなら全部言えよ!!としか。



まあ何だかんだ言いましたが、宇宙船という閉鎖空間でエイリアンに寄生されて狂暴化した人間どもがギシャー!と襲い掛かってくる映画としてはそこそこスリルがあって楽しめます。普通に面白いよ。ツッコミどころがちょっと多いだけで、基本楽しい映画ですよ。まだ見てない人は早く見に行ってあげてください。



あとこの映画、提督役のトーマス・ジェーンがやたらかっこいい。提督のくせになぜかコールドスリープしてサボっており絶望的な状況になってから出てくるんだけど、この人なら何とかしてくれそう!感はブルース・ウィリスより上でした。まあ何ともならんかったけど。


コメント

切り裂きシンザ さんの投稿…
この映画のことなんて全く知りませんでしたw へー劇場公開中なんですか・・ しかも、ブルース・ウィリスにトーマス・ジェーンとは! うーん、コロナのせいで公開映画の情報をまったく入れてなかったせいですね。もう少し落ち着いたら映画館にも行こうと思います。この映画は多分もう少ししたらどこかで観れそうな気がするのでちょっと待とうw
岩石入道 さんの投稿…
コロナ禍で洋画が少ないからこそなんかないかなあ…と映画館のHPをチェックしまくってて見つけました。この超B級クオリティで全国公開に至るのはかなり珍しいかと。ブルース・ウィリス様様ですな。ただ、都会では1月15日公開だったようなのでもう上映が終わってるところが多いかもしれません。観れるなら観てほしいですけどね。