「デューン・サバイバー 砂の惑星」 感想 やっつけ仕事的な虚無感が漂う

概要

原題:Dune Drifter 

製作:2020年イギリス

発売:彩プロ

監督:マーク・プライス

出演:フィービー・スパロー/デイジー・アトキンス/サイモン・ドワイヤー=トーマス


遠い未来、どっかの宇宙でなんかの戦争が起こっていた。撃ち合いの末、わけのわからん未知の星に墜落してしまった女性パイロットは、負傷した相棒と共にサバイバル生活を強いられる。


予告編

感想




「デューン/砂の惑星」の便乗作がもうリリースされてました。あれって秋頃公開ですよね。さすがにちょっと早すぎないか。本家に合わせて延期した方が良かったのでは?

こういうのって全然関係ない作品を日本の配給会社が勝手に便乗作に仕立てるパターンも多いんですが、本作の場合原題からして「Dune Drifter」なので元から便乗する気満々で作ったようです。



内容は、端的に言ってとてもひどい。

あまりに空虚すぎて途中で寝落ちしました。


まず冒頭から長々と30分近くも宇宙での戦闘シーンが流れるのですが、誰と誰が何のためにどこの宇宙で戦っているのかも分からない。雰囲気でテキトーに察してネってことなんでしょうけど、そんなん知らんがなとしか。画面の中だけでワーキャー盛り上がられても困るんですよ。どうせあとでやることなくなるんだし、もうちっと背景とか人物描写をしても良かったんじゃないかと。



また、いくら低予算とはいえ宇宙船のテクスチャがのっぺりしていて映像的にも相当キツイ。これじゃ1974年製作の超低予算インディーズSF映画「ダーク・スター」と比べても五十歩百歩のクオリティなのでは…。それともマーク・ポロニアの「猿の帝国 女囚戦記」の特撮映像よりはましだとほめるべきですか?



…で、激戦の末に近くにあった未知の惑星に不時着してしまった女性パイロットのサバイバル劇が物語の主軸となっているわけですが、それも異様にダラダラしてどうでもいいことに時間をかけまくっているだけで何とも言えない。宇宙船の再起動パスコード?が分からなくてあれこれ騒いだ揚げ句に結局「1234」だったとかもうね…。やることないからどうやって時間潰そうかな~っていう作り手の苦悩が伝わってきます。一応狂暴なエイリアンらしき生物のうなり声が迫ってきたりはするものの、姿は見せないまま終わるし。



その代わり変なガスマスク姿の男が襲ってくるので、後半はそいつとの戦いがメインになってきます。主人公もそいつもお互いレーザーガンみたいのをバンバン撃ちまくって戦うんですが、なぜか至近距離で当たりまくっても全然ダメージも何もないっていう。マーク・ポロニアが好んで使う謎レーザーガンよりも著しく弱そう。殴った方が早い。



さっきからマーク・ポロニアを引き合いに出してますが、正直言ってこれなら「猿の帝国 女囚戦記」の方が圧倒的に面白いです。ポロニアをバカにしちゃいけません。こういう虚無的な映画に比べたらネタになる分ポロニア監督作の方がずっと心に残る存在なんです。





監督のマーク・プライスはそれなりに名の通った人物のはずですが、なんか全体的にやる気を感じられないです。かろうじてガスマスク男との格闘シーンだけは妙にイキイキしており何となく頑張っている感がありましたが、他があまりに空虚すぎます。SF嫌いなのに金のために便乗作をむりやり作らされたのかな、と邪推してしまいました。

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