「ファナティック ハリウッドの狂愛者」 感想 キモいような可哀想なような

概要

原題:THE FANATIC

製作:2020年アメリカ

発売:ギャガ

監督:フレッド・ダースト

出演:ジョン・トラボルタ/デヴォン・サワ/アナ・ゴーリャ


ハリウッドでパフォーマーをしているムースは、人気俳優のハンター・ダンパーの熱狂的大ファンであった。ある時、ダンパーのサイン会に参加したムースは、ダンパーに冷たくあしらわれてしまう。どうしてもサインが欲しいムースはダンパーの自宅を突き止め、無断侵入を繰り返すうちに欲望がエスカレートしていく。


予告編

感想



ジョン・トラボルタが狂気のストーカーを演じたけどもラジー賞を取ってしまった作品。

トラボルタと言えば私は「ミッドナイトクロス」が大好きで何度も何度も繰り返し観ましたし、その後も「ブロークン・アロー」とか「フェイス/オフ」などを観ていい俳優だなあと思っていたのですが「バトルフィールド・アース」で実はアレな人だったんだと気づいてからはあまり目にすることもなくなっていきました。



そこへ来て本作のトラボルタが演じるムースは、確かに今まで見たことが無いトラボルタになってます。坊ちゃん刈りに変な柄のシャツに半ズボンという小学生みたいないで立ちの映画マニアで、特定の俳優に入れ込むあまり周りが見えていないキャラ。そのうえガタイがいいので異常な存在感。ただ「狂気のストーカー」とは言うものの、ムースはどう見ても自閉症か何かなのでそういう呼称はよろしくないんじゃないかなと。



そんなムースは大好きなハンター・ダンパーという俳優のサイン会に参加するものの、タイミングが悪くダンパーに冷たく突き放されてしまい、サインがもらえなかったことからムースのストーキング地獄が始まるという話。



このムース、服装だけでなく中身も純粋な子供のような感じだったのですが、ダンパーの自宅を突き止めて侵入を繰り返すあたりから本当に純粋なんだかヨコシマなんだか分からなくなってきます。特にダンパーのハブラシを使うシーンはアウツかなあ…。そこ以外はまだ許容できなくもないけどハブラシのせいで「僕はストーカーじゃない!」というムースの叫びにちょっと同情できなくなった感があります。



普通こういうストーカー物のスリラーは付きまとわれる方のダンパーが主役になるものだと思うんですが、ダンパー側の心理描写はほとんど無いし何よりダンパーがかなり嫌な奴として描かれているので、ストーキングされるスリルを味わえる映画でもない。というかそういう目線で観ると結構突っ込みたくなる箇所は多いです。ダンパー宅のメイドをワンパンで殺害してしまうムースとか、別に隠してないのにそれがラストまで露見しない杜撰さとか、ダンパー宅のセキュリティ意識の低さとか。



となるとキモいストーカーになっちゃったムースを眺めて楽しむしかないわけですが、ハブラシのせいでいまいち肩入れ出来ないし、かといって逆にハブラシ程度ではそこまで突き抜けたキモさとか恐ろしさがあるわけでもない。そこら辺の半端さがクライマックスからラストにかけてのすっきりしなさ加減に表れていたような気がします。とはいえ、何だかんだ言ってこのキモボルタはインパクトがありましたし、まあそこそこ楽しめました。

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