概要
原題:Centigrade
製作:2020年アメリカ
発売:ファインフィルムズ
監督:ブレンダン・ウォルシュ
出演:ヴィンセント・ピアッツァ/ジェネシス・ロドリゲス/メイビス・シンプソン・アーンスト
アメリカからノルウェーへサイン会にやってきた作家のナオミと夫のマット。だが、レンタカーで車中泊をした後、思わぬ積雪で車が埋まってしまい閉じ込められてしまう。なぜか脱出するのは危険だと判断したマットはひたすら助けを待つことにするが、どんだけ耐えても全然誰も来ないのであった。
予告編
感想
ノルウェーのどこかで車中泊をして目が覚めたら完全に雪に埋もれて閉じ込められてしまい、さあ大変というワンシチュエーションスリラー。
冒頭で「実話に着想を得た」と出てくるんですが、それにしては異常にツッコミどころ満載で酷い出来栄え。ここまでリアリティ皆無のくせに実話ベースを主張する製作陣の正気を疑いました。いやもう100歩譲って仮に本当に実話だったとしてもツッコミどころ満載なことに変わりはないので今回はひたすらツッコませていただきます。
えーまず作家のナオミは夫のマットと共にアメリカからノルウェーへサイン会にやってきたという話ですが…
妊娠8か月?で出産直前の体なのにサイン会ごときで普通わざわざノルウェーまでやってきますかね…。
で、車中泊をして目が覚めたら雪に埋もれていた、というのもなあ。
そもそも冬のノルウェーで気軽に車中泊をするアホがいるのか? と問い詰めたい。
仮にするならエンジンかけっぱで暖房付けてないととても寒くて寝てられませんが、それも排気口が塞がって一酸化中毒の危険があるのでダメなんですよね。だから冬の車中泊なんて電気ヒーターとか断熱シートなどの準備をしておかないと自殺行為なんです。そのうえシート倒して横になってもいないし、そんな姿勢でクソ寒い中スヤスヤ熟睡できるわけないだろうが!
そして事態を把握したナオミとマットはさっそく互いに責任を擦り付け合いギスギスした雰囲気に。ここはどちらかと言えばナオミのヒステリー具合にウンザリするのですが、こんなとこで車中泊しようと提案したマットも大概なのでどちらにも一切感情移入できないという潔い作り。
「窓を割って脱出しなきゃ!」と喚くナオミに対し、「外は危険だから助けを待とう」と必死で説得するマット。
しかしマットが何をそんなに恐れているのか分かりません。
ホッキョクグマとかオオカミだろうか。
そこまでエンカウント率が高いクリーチャーだとも思えないんですが。
せめてサンルーフぐらい開けてみてほしい。
携帯電話は当然のように充電ギリギリです。
2人揃って? それも都合が良すぎるでしょう。
携帯が無い時代設定にしとけば良かったのに。
で、籠城を決め込んでから4日後…9日後…と意外と時間の経過が早い。
そこで気になってくるのが、トイレはどうしてんの??っていう。どう見ても用を足してる様子がないんですよね。真面目に考えるなら車の後ろの方で垂れ流すしかないし、数日も経てば車内はとんでもない悪臭で満たされ、ケツを拭く紙もろくにない生き地獄になるはず。
そうなったらどう考えても「もうたまらん!何とかして外に出よう!」という流れになるでしょう。なのに、ナオミもイチかバチかで外へ出ようと何度も提案してるのに「外へ出て安全な保証があるのか!?」と聞く耳を持たないマットは一体何なんでしょうかマジで。ノルウェー郊外はそこまでの人外魔境なの? しかも除雪車がすぐ脇を通ったと気づいた後も全く出ようとしないし、一体どんだけ他力本願なんだ。
しかし2週間だったか3週間が経過した頃、いよいよナオミが独断で窓をぶち破って出ようとします。なのにそれを必死で止めるマット。なんかもう、外はゾンビだらけの終末世界でもなければ納得できませんよこんなの。つーかもう窓を壊してしまったのだから嫌でも出るしかないだろうに、それでも車内に留まり続ける2人。
そしてついにナオミが産気づき、出産…。
まあこれはいいです。たまにトイレで出産した女の子のニュースとか目にしますし、こういう状況でも出産に成功しちゃってもおかしくないのかもしれない。
しかしなー、どう考えても車内はくっそ寒いはずなんですよ。
酸欠になってないってことは外気が入ってるってことだし、窓ガラスも破っちゃったし、暖房なしで何週間もいたら間違いなくキンキンに冷えてやがるはずですよ。
なのにそれからまた何日も経ち、トータルでは20日以上も経ってからようやくナオミと赤ん坊は外へ出るんですが、いくらなんでもそんなに長期間生き延びられるわけがない。間違いなく低体温症で死んでますよ。あるいは糞尿の悪臭で臭死するかも。そんな悪臭の中、胎盤まで喰らった壮絶なサバイバルを経た後なのにナオミの綺麗すぎる健康的なお顔には違和感しかない。
一応ラストに「カマクラ効果で助かった」とかテロップが出てましたが、さすがにカマクラを過大評価しすぎてませんかね。カマクラの中が意外と暖かいと言っても、そりゃ吹きっさらしの外よりはいくらかマシというだけで別にプラス気温に上がるわけじゃないんですよ。
これはもしプライムウェーブが買い付けてたら「デイ・アフター・トゥモロー20XX」の邦題にされてた可能性大ですね。そうなってたら「ツッコミどころ満載だけど意外と面白いじゃん!」みたいな感想になっていたかもしれませんが…。
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