「デス・アプリ 死へのカウントダウン」 感想(ネタバレあり) お前の命はあと86400秒

概要

原題:YOU DIE

製作:2018年イタリア

発売:プルーク

監督:アレッサンドロ・アントナチ

出演:キャロラ・クデモ/シモーネ・バレンチノ/エリカ・ランドルフィ/アリス・ピアノ/ミコル・ダミアーノ


ある日、アージアはスーパーで見知らぬ男にスマホを貸した後、「YOU DIE」という奇妙なアプリを入れられていた。それを使うと死者の姿が見えるようになり、24時間のカウントダウンが開始される。死者の姿と残り時間に怯えるアージアはアプリの正体を探るが…


予告編

感想



スマホに入れられた呪いのアプリが、持ち主の死へのカウントダウンを刻む…というホラー映画。


つい最近も「カウントダウン」っていうほとんど同じ設定のホラー映画を観たばかりですが、そっちはアメリカ製で本作はイタリア製という違いはあります。


しかし「お前はもう…死んでいる…」っていう煽り文句はホラーとしてどうなんですかね?

ひでぶっ!




…それはさておき本編ですが、呪いのスマホアプリがもたらす恐怖感は本当にただカウントダウンするだけだった「カウントダウン」よりは圧倒的に上でした。月並みですが「リング」を始めとするジャパニーズホラーを参考にしたような幽霊の見せ方はさほどジャンプスケアにも頼っておらず好印象。



見知らぬ男にスマホを貸したばかりにこっそりそれをインストールされてしまった被害者のアージアは、このアプリは一体何なんだ!と親友のレオと共にITオタクの友人に協力を求めに行く…という話。で、例によってダークウェブとかから情報を得た結果、コピーして人に渡せば助かりますよと。



まあテンプレというか「リング」まんまですね。しかし呪いのビデオはまだアナログだから念写で作ったと言われると何となく説得力がありましたが、アプリはやっぱ微妙。ソフトウェアとオカルトは食い合わせが良くない気がして。



案の定、アプリの出自には何の掘り下げもありませんしね。そこは残業地獄で過労死したエンジニアが怨念を込めて作ったとか何とかそういうハッタリを利かせる等してほしいかなと個人的には思います。



ただ本作のアプリは呪いのビデオとは違い、1回コピーして渡せば完全に助かるのではなく、たった24時間だけカウントダウンが伸びるというもの。つまり生き延びるためには毎日毎日他人のスマホにインストールして渡さなければならない。それだととんでもない勢いで拡散するのでは…?と思いましたが、実際意外と身近な人も持ってたりしたのであの世界は結構末期的な状況のようです。



それを何とかするのが主人公の役目だと思うんですよ。実際、アージアは他人に渡すなんてとんでもない!とばかりに生き延びている人を怪物だ何だと非難しますしね。「私は別の方法を探す」と宣言もするし、こういう映画ではどうやって呪いを解除するのかが見どころになりますよね。






以下ネタバレ





…と思ってたのに、特に何もすることなくあっさり自死を選ぶというオチには驚きました。本作中でアージアがやったことと言えば、ITオタクの友人にダークウェブ検索してもらったことと、義理の姉に泣きついただけっていう。もうちょい自分の力で何かやれることはなかったのか。いやまあ、何もなかったんでしょうけどあまりにも無力感に溢れる寂しすぎるオチにテンション爆下げ。


妙にキャラが濃かったヴィオラという友人が後々再登場するはずだと思いきや序盤で喧嘩別れしてフェードアウトしたままっていうのも何か居心地が悪い。



本作は「生き延びるために他人を犠牲にし続けることが出来るか?」っていう問いを投げかけたかっただけなのかもしれません。アージアはそれを非難しつつ結局自分も1回だけ他人に渡しちゃってたので、完全に清廉潔白でもないけど結局罪悪感に耐えきれず…。

って感じだったので、まあどこまでも普通の人だったんだろうなとは思いますが、ホラー映画としては盛り上がるところが絶無でさすがに物足りませんでした。


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