概要
原題:I SEE YOU
製作:2019年アメリカ
発売:クロックワークス
監督:アダム・ランドール
出演:ヘレン・ハント/ジョン・テニー/ジュダ・ルイス/オーウェン・ティーグ
その街で、ある日10歳と9歳の少年が立て続けに失踪する。現場には、以前世間を騒がせた<連続少年誘拐殺人事件>の時と同じ緑色のナイフが残されていた。しかし、既に当時の犯人は逮捕されており、捜査は難航する。一方、事件を担当するハーパー刑事の自宅でも、次々に不可解な出来事が起こり始める。ひとりでに閉まる扉。誰も触っていないはずのテレビは、突然事件のニュースを流し始める。この街に、この家に一体何が潜んでいるのか。そして一家の一人息子「コナー」の元に届いた不可解なメッセージ、その意味が明らかになる時、事態は予想だにしなかった結末へと動き始める。
(↑クロックワークス公式HPより)
予告編
感想
こ、これは…ノレなかった…。
「開始45分、その恐怖は快感に変わる」という具体的すぎるキャッチコピーから察せられてしまう通り、どんでん返しをウリにしたサスペンス・スリラー。こういうのはなるべく前知識がない状態で見たいものなんですが、ツイッターなどで良い評判が洩れ聞こえてたので知らず知らずのうちに期待が膨らみすぎてしまったようです。これだから事前にハードル上げるのは良くないんだ。本当に何も知らずに見ていればまた違った感想だったかもしれないのに。内容的には全然違いますが「ユージュアル・サスペクツ」を観た時と似た落胆、疎外感を味わいました。みんな絶賛してるし出来がいいのは分かるんだけど、あまり楽しめなかったっていう。
前にもどっかで書きましたが、私は学生の頃に推理小説に病的なほど熱中して相当な数を読み漁っていたことがあります。トリックで騙される快感にハマってしまったんですね。しかしそれだけ読みまくると、次第に「読者を騙すためだけに構築された世界」の虚しさを感じるようになってしまいました。当時は新本格ミステリと呼ばれるものが流行していて、それらの小説はあまりにトリック偏重の傾向があったため「人間を描けていない」などと批判があったんですよね。まあトリック偏重でも面白ければ何でもいいとは思うんですが、予想外のどんでん返しを決めようとすればするほどストーリーそのものはつまらなくなる傾向があったと思います。特に叙述トリック系はそうでした。トリックだけは鮮明に覚えてるのに、話の内容はほとんど思い出せない推理小説が山ほどありますからね。
本作にもそれに似たオーラを感じられます。児童誘拐事件を捜査している刑事の家庭内不和に怪奇現象を絡めて描写する前半は引き付けるものがあるし、その真相も全く予想外で新鮮でした。しかもそれだけで終わらず最後の最後までサプライズを演出してくるのは確かによく練り込まれてると思います。…だけど、話としては別に何も面白くなかったんですよね。パズル的な構成にこだわるあまり、ただただ登場人物の行動だけが味気なく羅列されてるように感じられてしまって。
感想としては以上ですが、真相について感じた疑問点を下に書いておきます。
以下ネタバレ
なぜ犯人は15年ぶりに犯行を再開する気になったのか、そのタイミングでフロッグがやって来たのは偶然なのか。誘拐事件のニュースを見てやってきたんだとは思いますが、そのわりには何日も家でダラダラしてたのはどうしてなのか。そのおかげでよけいな犠牲が出てたし。フロッグは犯人を知ってたんだからもっと早く襲いに来てもおかしくないはずだが、そうしなかったのは再犯しなければ放っておくつもりだったのか?
そもそもフロッギングって本当にやってる奴いるんですかね。「意外な真相」には違いないけどそこが引っかかってしょうがなかった。あんなんバレたら即射殺されても文句言えないくらいの犯罪だし、若者がノリでやるにはあまりにもリスキーすぎると思うんですが。そんな都合よく隠れ場所があるものか? 動画撮ってたけどわざわざ犯罪の証拠を残してどうすんだ。それにフロッギングがバレにくいほどの豪邸ならセコム的なセキュリティシステムが入ってる可能性もあるし。特に刑事の家ならその辺人一倍気を使っててもおかしくないのでは。フロッギング中はトイレも風呂も洗面所も下手に使えないんだから4~5日もバレないとは考えられない。あれだけイタズラしてたらなあ。小便かけたらさすがに起きるだろ。
…あまり細かいことを気にするなと言われれば、まあそうなんですが。
コメント
これすごくわかるw 私もそんなにすごい映画だとは思わなかった。「スティング」なみの衝撃を期待したのが間違いだったのでしょう。
スゴイどんでん返しがあるよ~と宣伝や口コミで煽られると期待しすぎてしまいますよね。
「スティング」は見たことないんですが、「シックスセンス」の公開当時なんて新聞広告みただけでオチが読めてしまいましたからね…