「シスターズ 異常な愛情」 感想 雰囲気は良いが穴だらけ

概要

原題:Mommy would never hurt you

製作:2019年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:ダニエル・ラスコ

出演:クリステン・ヴァガノス/リビー・マンロー/ミカヴリー・アマイア/ザック・ゴールド


家族を異常な支配下に置きたがる母親から逃げ出したライリー。数年後、婚約したのを機に家族仲を修復しようと実家へ帰ってくる。だが、母親は病弱な妹のベスをバイキンから守るためと言ってさらに厳しい管理下に置いていた。何かがおかしいと感じるライリーだったが、次第に彼女自身も病に蝕まれていく…


予告編

感想



アマゾンプライム配信の新作サスペンス・スリラー。

これは珍しくアサイラム製作。アルバトロスは何をサボってるんでしょうか。まあ、本作はいつものバカ映画ではなく、実話を元にした極めてシリアスな映画なのでスルーしたのかもしれません。アサイラムもたまには真面目な映画を作るんですなあ。どこまで実話なのかはかなり疑問ですがね。



内容は、サイコな母親によって異常な支配下に置かれた娘たちの話。姉のライリーはそれに耐えかねて一旦家出したが、妹のベスは病気を患いそのまま過保護に厳しく管理され続けていた。数年ぶりに帰ってきたライリーは、ベスを病院にすら診せずにがんじがらめに縛り付ける母親にサイコ味を感じるが…



雰囲気としてはそんなに悪くないんですよね。母親のサイコな演技も悪くないし、ベス役の人もなかなか繊細な演技を見せてくれます。終盤からしみじみした歌に合わせて言葉少なに表情のやりとりで見せるエンディングはアサイラムらしからぬしっとりした上品さを漂わせていて感心しました。ムードだけなら何となく一流映画を観たような気分にさせてくれる力はあると思いますよ(超低予算テレビムービーのわりには)



ただ、サスペンス・スリラーとしては…致命的なツッコミどころがいくつかあるんですよね。バカ映画じゃないと思ったけどやっぱりバカ映画だった。アサイラムはやはりアサイラムでしかないのか? 表面上は一見上質なだけによけい間抜けさが際立ちます。実話とか言っててどうしてこうなった。以下、激しくツッコミを入れたいのでネタバレさせていただきます。




以下ネタバレあり




ベスがギラン・バレー症候群患者というのはウソで、サイコマザーに日頃から毒を飲まされていたせいで弱っていたという話。それを怪しんだライリーはベスの髪の毛を密かに採取。看護師の彼氏エイデンに郵送しようと出入りの業者ジーンに預けます。で、サイコマザーはそのジーンに毒入りお菓子をプレゼント。運転しながらそれを食べたジーンはその場で死亡という流れ。



いや…ふつう箱に入れてラッピングまでされたお菓子を即開封して運転しながら食べるか?どんだけ腹減ってたの? …というのはまだいいとしても、食べかけのお菓子を散らかしたまま運転席で不自然に死んだのに警察が何も気づかないとかどうなんですかね。あり得んでしょう。つーか、ジーンが一人で食べずに家庭か職場に持って帰ってたらどうするのか。一発でバレて逮捕されると思うんですが。車の中で食うという確信でもあったのか? これはさすがに雑すぎる犯行と言わざるを得ない。第一、そこまでのリスクを負って始末しなければならないほどの人物でもない。



また、ライリーの彼氏である看護師エイデンは、送られてきたベスの毛髪から毒物が検出されたと知り、慌ててライリーの実家へ駆けつけます。サイコマザーがベスに毒を盛っていると判明したので、ライリーの身にも危害が及ぶことを心配したわけですね。


しかしその時ライリーも既に毒を盛られて眠っており、サイコマザーが応対することに。エイデンは当然このサイコマザーが危険人物だと気づいているはず…いや、気づいたからこそ慌てて飛んできたはずなんです。確信はなかったとしても、強い疑いを抱いている状況。


が、なぜかエイデンはサイコマザーと和やかに談笑し、出されたお茶とハチミツを何の疑いもなくゴクゴク飲んでしまう。お前は一体何をしに来たんだ。マヌケってレベルじゃねえぞ。いや、怪しまれないように飲んだフリをしているのかも…と思ったけど、やっぱりエイデン君普通に死んでしまいました。一体これをどうとらえればいいのか。Noと言えないアメリカ人も増えてるってことかね…



これ以外にもおかしな点はありましたが、この2つはサイコマザーによる殺人シーンの全てなのでどうしても看過できないポイントでしたね。いくら雰囲気が良くてもこれじゃサスペンスとしてはいただけないな…

コメント