「事故物件 身も凍る執念」 感想 この雑さも持ち味か

概要

原題:deadly b&b/deadly inn

製作:2018年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:ジョン・マーロウスキー

出演:アンジー・パターソン/アリア・プルマン/チャド・マイケル・コリンズ/ケイト・ミナ・リン/ギルダート・ジャクソン


かつて悲惨な事件があり、荒れ果てていた邸宅を購入したロビン。彼女はそこをリフォームし、観光客が訪れるB&B(民宿)として運営することに。だが、開業する前にベスという女性が訪れ、泊めてほしいと頼まれる。札束を渡されベスを受け入れたロビンだったが…


予告編


予告編なし。マイナーなテレビ映画はこれだから…

感想




アマプラ配信の新作サイコスリラー。

ちょっとタイミングが遅い「事故物件」便乗作か。事故物件と言っても本作はあくまでサイコスリラーであって心霊ものではありませんが。

監督のジョン・マーロウスキーは「レプリケイト襲撃」「ザ・テスト 護身術」「マザーズ禁断の秘密」など良くも悪くもアクの強い尖った作品を撮ってくれるお方です。好事家的には大いに注目すべき怪人物と言えます。



とはいえ本作はそんなマーロウスキー作品の中ではマトモな方というか大筋は常識的な作品ではありました。何らかの精神疾患を持ち、娘を死なせてしまった母親アイリス。退院後に我が家へ帰ってみると、ロビンとエヴァという母娘が家を買い取りB&Bを始めていた。アイリスはベスと偽名を名乗り、客としてそこにもぐりこみ、営業妨害をする一方で娘エヴァを奪ってロビンを殺害しようと企む。



どこが舞台なのか知りませんが風景が非常に美しく、ロビンの経営するB&Bの建物も豪華なので画面に安っぽさがなくて良いです。ストーリーも要するにシングルマザーがサイコ女に狙われるといういつものパターンで、ここまで繰り返されるともはやマンネリを通り越して水戸黄門的な安心感さえ覚えるようになってきました。人間ドラマ的にもそんなにおかしくなく、テレビムービーとしてはそこそこ楽しめる出来栄え。



本作最大の見どころは、ロビンがクモ嫌いだと知ったベスがドクイトグモをけしかけてくるシーンですね。最近サメ映画は異様に豊作だしワニ映画もそこそこ供給はあるけど、クモ映画はさっぱり新作の出る気配がない。なので、クモが襲ってくるシーンがある映画はそれだけで好意的に見てしまいます。しかも意外とCGのクオリティが高い。



ここまで良い点をいくつか挙げてきましたが、しかしそこはジョン・マーロウスキー監督なので強烈なツッコミどころもしっかり完備。何がアレかって、殺人シーンが異様に粗雑なんです。ベスはB&Bにやってきた観光客を追い出すためにあれこれやらかすのですが、最初の客を道路に突き飛ばしてトラックに轢かせる場面は特に噴飯もの。あんな白昼堂々と人を殺しておいて誰にも見られてないのがまずおかしい。というかトラックの運ちゃんは見たはず、どころか不可抗力とはいえ思いっきり人を轢いてるのに減速すらせず当たり前のようにひき逃げしてしまう。あんなのもはや地獄のデビルトラックかもしくはテスラのポンコツ無人トラックだったとしか考えられませんが、もし人が運転する普通のトラックだったらこの時点でベスは捕まってジ・エンドだったはず。



そんな感じでベスは実に雑な犯行を重ねていきますが、ロビンも警察も終盤まで全然彼女を不自然なほど疑わないのでどうしてもご都合主義的に感じてしまいます。あのバレ方もちょっとひどい。遺言書て。まあ、隙もない当たり障りのない普通のサスペンスよりは、こういうツッコミどころ満載である方が観てて楽しいからいいんですけどね。


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