「リーサル・ストーム」 感想 最終兵器・謎の猛獣

概要

原題:Force of Nature

製作:2020年アメリカ

発売:ハピネット

監督:マイケル・ポーリッシュ

出演:エミール・ハーシュ/ケイト・ボスワース/メル・ギブソン/デヴィッド・ザヤス/ステファニー・カヨ/タイラー・J・オルソン


巨大ハリケーンがプエルトリコに上陸。警官のコルディーロは自宅マンションに籠り避難を拒否する老人たちの説得に当たっていた。だがそんな中、マンション内に武装した強盗団が押し入ってくる。無線も通じない状況でコルディーロは住人と協力して立ち向かう。


予告編

感想



ハリケーンで孤立し閉鎖空間と化したマンションで、警官と住民が強盗団に立ち向かう。すごく小規模なダイ・ハードorフラッドといった趣きのアクション映画。しかしメル・ギブソンが出ているというだけでこんな邦題に。と言ってもメルギブは主役ではなく、ハリケーンで避難勧告が出ても頑として自宅に居座り警官の説得にも一切応じないひねくれ頑固ジジイ。非常に似合いの役ではあります。一応元警察署長という肩書もあり、宣伝でも最終兵器と大袈裟に煽っていたものの、あまり大した活躍はなく微妙な扱いでした。さらにハリケーンも単なる大雨に過ぎないので詐欺ジャケもいいところです。



メルギブやハリケーンはともかく、作品自体はこれもテレ東がめちゃくちゃ好みそうなツッコミどころあふれるB級スピリッツに満ちていて、たぶん午後ローで半年に1回くらいのペースで放送されるようになるでしょう。私もこういうのはとても好きです。新作料金払って観るべきとは言わないけど、テレビ放映なら見逃してはいけないタイプの作品。



閉鎖空間で警官が孤軍奮闘し、強盗団とやりあう羽目になるまでのお膳立てはスムーズで観やすい。避難勧告に従わずマンションに引きこもろうとする変人はメルギブだけでなく、厳重なセキュリティで自室を守る老人や、謎の猛獣を飼っている黒人など癖のある人物ばかり。アニマルパニック好きとしては「謎の猛獣」がとても興味深く、「飼い主が警官嫌いだから警官を襲うようにしつけてある」という設定はあからさまに後々の展開が読めてしまうものの、期待で胸が高鳴ります。



そんな感じで中盤までは非常に楽しめましたが、後半はこれといった見せ場がなく案外盛り上がらない。ドンパチにせよ格闘・高所アクションにせよ中盤までで全部消化しきっており、やることがなくなってしまったのでしょうか。それでもまだ謎の猛獣がいるんだ!ほれみろ警官と強盗団のリーダーが服を交換したじゃないか!ここまで丁寧に前振りしてるんだからワニとかコモドオオトカゲとか、あるいはライオンかオオカミかなんかが暴れる大迫力アニマルパニックが観られるかもしれんぞ!?



…と己の心を鼓舞してみたものの、なんと謎の猛獣の出番はほんの一瞬だけ! あそこまでお膳立てして期待させて終盤まで引っ張りまくって出番はたった0.2秒くらいですか? なんと無慈悲な…。あまりにも一瞬すぎて何の動物かも結局ハッキリとは分からんし。 まあネコ科だったのはかろうじて分かりましたけども。何でマンションの一室でそんなもん飼ってんだ。そいつが飛び出て全て解決ってのもめちゃくちゃ雑な締め方なんですよね。敵が1人ならともかく2人いたんですが、謎の猛獣が彼らをどう始末したのかそれが一番重要なところ、魅せるべきクライマックスじゃないですか。強盗団を始末した後にどうやって謎の猛獣を取り押さえたのかも含めてさ。原題の「Force of Nature」って当然ハリケーン+猛獣の力のことなんだろうし、そこは是が非でも映像で表現してほしかったところですね。

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