概要
原題:Vicious Fun
製作:2020年カナダ
発売:プルーク
監督:コーディ・カラハン
出演:エヴァン・マーシュ/アンバー・ゴールドファーブ/アリ・ミレン/デビッド・ケーチナー
ホラー映画雑誌編集者のジョエルは、片思い中のルームメイトの彼氏を尾行し、怪しげな中華料理店に入ってしまう。酔いつぶれたジョエルが目覚めた時、そこではシリアルキラーたちによるグループカウンセリング(?)が行われていた…
予告編
感想
ウザいホラーマニアの若者が5人の凶悪な殺人鬼と戦うホラーコメディ。
と思いきや1人は実は正義の殺人鬼で、主人公ジョエル側に付いてくれるということで実質は2人vs4人でした。やっぱり1対5では死合が成立しなかったか。戦力差はともかく、ホラーマニアとしての知識が特に生かされなかったのはもったいない。
ホラー映画雑誌編集者のジョエルは取材中の監督にやたら横柄な態度を取るし、しゃべり方は異様にくどいし(吹き替えも)でかなりのウザキャラ。そんな彼は「タクシードライバーを殺人鬼にしたホラー映画を撮れば絶対売れる!」と考えています。まあ本作の舞台は1983年なのでそんな一発ネタでもいける時代には違いないと思いますが、殺人鬼がタクシーの運転手だったからって別にそんなに面白くはならないような気がします。救急車の運転手が殺人鬼の映画でさえそんなに面白くなかったし。
ジョエルが怪しげな中華料理屋で酔いつぶれてしまい、目が覚めたらなぜかシリアルキラーたちのグループセラピーの参加者と間違えられていた…という始まりは「モンスター・パーティ」に似ていますが、面白い。シリアルキラーなんて普通群れるもんじゃないけど、誰かが音頭を取ってくれれば同業者に打ち明けて相談したいことは色々あるよと。ただ、政府お抱えの暗殺者が混じってるのはおかしくないか。お前はシリアルキラーとは言えないだろう。もしくはただの自慢大会なのか。それなら人肉料理人にはもうちょっとこだわりとか手口について語ってほしかったところです。
ジョエルはそこで常々温めていたタクシードライバー殺人鬼ネタの設定をまるで自分の犯行であるかのように話して乗り切ろうとします。が、案外ツッコミどころが多くてバレてしまう。まだ序盤ですが本作中で一番スリルのあるシーンです。ホラー映画の設定だったらツッコミどころがあっても良いというかむしろ喜ばれるけど、さすがに現実のシリアルキラーには通用しない。現実とフィクションをごっちゃにしてはいけませんね。ホラー映画はあくまで空想。わざわざ忌避する必要は全くないので、地上波でもどんどん放映すべきなのです。この作品も午後ローでうっかり目撃したらうれしくなるタイプのホラーだしいつかやってほしい。
グループセラピー後は若干中だるみもあり眠くなったりもしました。しかし、ウザキャラのジョエル君を追ってどこかで見たような殺人鬼キャラが複数入り乱れ、警察署や病院で暴れて肉やモツを撒き散らす絵面は充分微笑ましく楽しいひと時を提供してくれました。邦題から受ける印象ほどぶっ飛んではおらず案外手堅く、常識の範囲でまとまっていたのが多少残念でしたが、おおむね良いB級ホラー映画だったと思います。
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