「アイアンサーガ 暴走機械兵団」 感想 クワイエット・マシーン

概要

原題:A Living Dog

製作:2020年ドイツ

発売:AMGエンタテイメント

監督:ダニエル・ラボルト

出演:ステファン・エベル/シーリ・ナセ


テクノロジーへの依存が進んだ近未来、音に反応して人間を襲うロボット兵団によって人類が滅亡の危機に瀕した世界で、「絶対に声を出してはいけない」というルールを守り、生き延びている二人がいた。彼らは筆談を使い、アジトに身を潜め、静寂とともに暮らしていた。ある日、アジトに迷い込んだ一体のロボットを撃破することに成功した二人は、ロボット体内のチップから、敵に対抗する手がかりを見つけ出す。


(↑アメイジングD.C.HPより)


予告編

感想





人の声に反応して襲ってくるロボット兵団がはびこる未来世界で、声を出さずに生き延びてきた二人の男女がロボット兵団に何とか反撃しようとするドイツ製SFインディーズ映画。SFとはいえ超低予算なので舞台はどっかの森の中です。



この内容だとちょうど今月からソフト発売・レンタル開始の「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」に思いっきり便乗できるはずなのに、どうして「クワイエット・マシーン 沈黙の機械兵団」みたいな邦題にしなかったのか。レンタルさせるためならルール無用、金的目潰し何でもアリのB級映画配給会社の中でも特に商魂たくましいAMGエンタテイメントの仕事とは思えません。



…ただ、内容的にはかなりキツイ。これは正直昨日観た「エイリアンVSジョーズ」よりもつらいぐらいです。と言っても本作は決してAVJのようなチャランポランなクソ映画というわけではなく、ドイツ製らしく恐ろしく真面目に誠実に作られてはいます。VFXのクオリティもインディーズとは思えないほど高い。というかまあ、インディーズかどうかなんて借りる前は分からないのであまりそこで忖度したくはないのですが。少なくともジャケ絵から想像するような娯楽アクション映画では全くないです。



ではなぜそんなに観ていてつらいのかと言うと、セリフが全然ないのが原因です。登場人物は途中で殺されるモブを除くと主役の男女二人だけですが、1時間38分の間で発するセリフは各自それぞれたったの一言ずつだけ。10文字以下。これで吹き替え版が存在するというのが最高に意味が分からない。わざわざ吹き替える意味が全くないでしょう。



人の声に反応して襲ってくるロボがいるから一切しゃべれないのは設定上仕方ないにせよ、せめて主人公のモノローグくらいは欲しい。映像だけで全てを表現し切りたかったんでしょうが、あまりにストイックすぎます。その分、溜めに溜めただけ最後の一言に大きなカタルシスがあるっちゃありますが…そこに至るまでが本当につらい。



個人的にはこういう「あえてセリフなしにしてみたぜ!どうだ斬新な試みだろう」みたいな縛りプレイをウリにした映画というのが非常に苦手です。野球選手で例えると、一人だけあえて竹のバットでプレイしているとかね。それでヒット打てたら確かにすごいけど、そんなよけいなことをする余裕があったら普通にやれ!と思いますね。


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