「スペーストレイターズ 宇宙逃亡者」 感想 見る拷問

概要

原題:STARSHIP RISING

製作:2013年アメリカ

発売:彩プロ

監督:ニール・ジョンソン

出演:ダーレン・ジェイコブス, エミィ, ブルック・ルイス


はるか未来。腐敗した地球連邦と暴虐的な宇宙国家テレノストラ、2つの帝国が戦争を繰り広げ銀河系は荒廃した世界となっていた。テレノストラに属する最強の宇宙船スターシップ・ワンの船長ジョン・ワーシー大尉は長引く戦争に疑問を感じ始め、ある時、命令に背き上官を殺害してしまう。戦争を終わらせるべく両国に働きかけを図るワーシーであったが、危険人物と見なされ双方から追われる身となる。幾多の逃亡戦を経て、ワーシーは地下レジスタンスと仲間になる。高性能な船とロボット部隊を委ねられ、地球連邦とテレノストラに戦いを挑んでいくのだったが…。

(↑彩プロHPより)

予告編

感想



2013年リリースの旧作がプライムで無料になっていたのでなんとなく観てみましたが、これはひどい。見る拷問も同然の産業廃棄物です。ストーリーの構造そのものは「連邦軍とテラ教団の争いに割り込む調停者の主人公」と一見シンプルなようでいて、その実異常に理解しにくい。製作者は見るからにスターウォーズとかスタートレックのオタクですが、いくらなんでもこじらせすぎです。これは「エイリアン・ファイナルカウントダウン」のジャスティン・プライスさんと同じパターン。自分も同じようなスペースオペラを妄想しまくって脳内で細かい設定や専門用語を醸造させまくり、「一見分かりにくいだろうけどSWマニアみたいに考察してくれよな!」とばかりにそれを脈絡なくセリフに散りばめてきやがるせいでとにかくわかりにくいんです。テラ教団って何だよ。



まあいちいち細かく説明してたらSF映画が成り立たないことは分かりますがね。だからこの映画がどこをどうすればよくなるのかなんて見当もつきません。スターウォーズは一応私も7作目まで観たもののそれほど好きでもない作品ですが、こういう見る拷問の脅威に晒されてしまうとあれがいかにわかりやすく出来ていたのかと改めて感心させられてしまいます。



本作の場合、それに加えて役者とは思えない酷すぎる演技を晒してくれる出演者たちに見る気力を根こそぎ奪われます。彼らは本当に職業役者なんでしょうか。決してやる気がないわけではなさそうな感じがするのも逆にすごい。その辺の小学校の学芸会以下どころかマーク・ポロニア監督作品でももう少しはましな演技が観られたような気がします。



しかしこの作品の最も恐ろしいところは、そこまでひどい出来にも関わらず特殊効果だけはバッチリよくできている点です。カッコ悪いなりにそこそこもっともらしい宇宙戦争がビジュアル的には表現できている。これは一体どうなってんだ…と思って調べてみると、どうも製作費が300万ドルもかけられているらしい。本作についてネットで数少ない感想を拾うと、「低予算の割りに頑張ってるじゃん」などと褒められてたりしますが、これが本当ならそれほど低予算とは言えません。邦画なら立派にメジャークラスですよ。



というようなことを考えると、製作者は300万ドルくらいポンと出せる大富豪で、とにかく俺ジナル・スターウォーズをやりたいがためにこんなおぞましいがらくたを産み出してしまったのではないかと思いました。さらに恐ろしいことに続編が存在するようですが、幸いなことに日本には持ち込まれていないのでこれ以上見る拷問に苦しめられることはないのが唯一の救いです。

コメント