「マリグナント 狂暴な悪夢」 感想 感動的なほど常軌を逸した傑作

概要

原題:Malignant

製作:2021年アメリカ

配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

監督:ジェームズ・ワン

出演:アナベル・ウォーリス/ジェイク・アベル/ジョージ・ヤング/ジャクリーン・マッケンジー/マッケナ・グレイス


DV夫に苦しめられていたマディは子供を切望しながらも流産を繰り返していた。ある夜、自宅に何者かが侵入しDV夫が殺害され、マディは命は助かったもののまたしても流産してしまう。そしてマディはその日以降、なぜかその侵入者がどこかでやらかしている殺人事件のビジョンを視るようになる。


予告編

感想





ツイッターで大絶賛の声が多数上がっているのを見て「でもそういうのに限って自分が見ても大して面白く感じないパターンが多いんだよな」…という具合に心のハードルを下げながら劇場に行ったら、腰を抜かして白目をむいて泡を吹きました。


なんてこった…。確かにこいつは控えめに言ってもトンでもない超絶傑作にして怪作と言わざるを得ません。ジェームズ・ワン監督は天才すぎます。実はジェームズ・ウォン監督やジェームズ・ガン監督と紛らわしくてよく混同してたけど、今度からはしっかり区別できそうです。



しかしこれ公式も言ってるけど絶対にネタバレしてはいけない映画ですな。ここを読んでる人もそうでない人も全人類等しくぜひ何も知らずに鑑賞して腰を抜かしてほしいものです。いつものように「以下ネタバレあり」と注釈を入れたうえで書く気も一切起きません。ネタバレは道義的に絶対に許されない作品です。



ただまあこれだけじゃ感想記事にならないので未見の人の楽しみを損なわない程度に少しだけ書いていきます。妊娠中なのにDV夫に暴力を振るわれている主人公マディ。その夜自宅に侵入してきた何者かにDV夫は惨殺され、マディは命は助かったもののケガを負わされて流産してしまう。それ以降マディはその夜の侵入者が他の誰かを殺害している光景をリアルに幻視するようになり…という話。



有能な刑事が出てきて真面目に捜査してるし、ジャーロのオマージュ的な雰囲気をそこかしこに感じるものの、どう見てもガッツリ超常現象が絡んでいる感じのお話です。ジャーロだけでなく色んな既存作品の良いところを取り入れていた印象。けっこうもったいぶって謎めいた展開のまま長々と引っ張るので、真相はあのパターンかな?それともこのパターンかな?とあれこれ想像しつつ、ある程度の方向性は読めるので「これ系のネタじゃあやっぱりそこまで面白くなりそうもないな」なんて勝手に決めつけかけてたんですよね。



そしたらまあ確かに方向性は大体合ってたんだけども、まさかあれほど常軌を逸したものをお出しされるとは思わなんだ。完全に想像の遥か彼方100光年先をいかれましたよ。世の中にはこんなにも豊かな想像力を持ってる人がいるもんだなあと感動するしかない。それもシンプルな一点突破力でありながら超絶的な技巧を凝らしていらっしゃる。ホラーとしてしっかり恐怖を与えてくれながらも笑いと感動と爽快感に満ち満ちており、ケチの付け所など全くございません。



あ、でも田舎では上映している劇場が少ないという大問題がありましたね…。我が北海道でも上映館は札幌シネマフロンティアただ1館のみというあまりにも厳しい現実。それでもあるだけましな方で、青森の人は県内に上映館が無いと嘆いておりました。まあ見に行ける人は即刻劇場へ走るべきだし、どうしても行動範囲に上映館がない人は枕を濡らしながら配信かソフト化をお待ちくださいとだけ言っておきます。


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