「サメデター」 感想 小首を傾げてソアヌツシツィアオク

概要

原題:APEX PREDATOR/Jaws of Los Angeles 

製作:2021年アメリカ

発売:コンマビジョン

監督:ダスティン・ファーガソン

出演:メル・ノヴァク/レイモンド・ヴィンシク・ウィリアムズ/ミア・スコッツァフェイブ/タム・マイケル・マリガン/ブリンク・スティーブンズ/ダウナ・リー・ハイシング/ショーン・C・フィリップス/ジョナサン・ネイション


カリフォルニア州のビーチで連続して人がサメに襲われる事件が発生、サメの研究者であるウェストウィン博士が調査に乗り出す。

しかしそのビーチでは巨大リゾート施設「レガッタ」のオープンを祝した盛大なパーティが予定されていた。

絶大な権力を持つオーナー・ロバートは周囲の警告を聞き入れずパーティーを強行しようとするが、サメのDNAにとある異常が見つかり…。

(↑コンマビジョンHPより)

予告編

感想






今度のサメは海に出る!(資料映像の中にしか出ない)


ソアヌツシツィアオク!(この呪文結局何だったんだ)




コンマビジョンが

「(デビルシャークを)超えちゃってるかもー\(^o^)/」

とまで言っていた超絶クソサメ映画がついに日本上陸。






このただならぬ大物の気配。私もコンマ様に生き血を捧げなければなるまいと使命感に駆られ、サメデターパーカーやらジャージやらを買わせていただくという形で2万円ぐらい資金援助しておりました。



およそ人類に生み出し得る限り最底辺を極めたクソサメ映画界のレジェンドにしてカルト宗教と化したあのデビルシャークを超えるかもしれない逸材とは一体どのような概念なのか。



恐る恐る確認してみた結果…


確かにこれは…

デビルシャークを超えちゃったかも…?



まずこの作品、画質がとんでもなく悪いです。被写体の輪郭がなんかギザギザしてるし、ちょっとでも動くとブレブレの残像が酷くて目がおかしくなりそう。一体何を使って撮影すればこんな恐ろしく劣悪な画質になるというのか。私はZ級映画の中でも特に酷いものをホームビデオと言ったりしますが、明らかにそれ以下です。格安スマホでもこうはなるまいよ。ということは、もしかしてガラケーの化石でも使ってるんじゃないでしょうか。


「なんでそんなことする必要があるんだ?」


と思うのが自然な感情というものですが、本作を構成する全ての要素が等しくおかしいのでガラケーの化石で撮影するのも全体のバランスを見ればむしろ当然と言えるかもしれません。



そして本作にはストーリー性というものは一切ありませんし、役者も出ていません。

つまりおそらく海水浴場の客に声をかけてガラケーで撮影し、適当にアドリブでサメがどうのこうのとしゃべってもらっているだけだと考えられます。撮影日数は多分1日、スタッフも監督兼撮影係のダスティン・ファーガソン一人で充分だったことでしょう。…そのわりにスタッフロールが謎に10分もあるけど。




サメは資料映像か何かの流用だろうし、当然人間と絡むシーンは一切ない。


つまり私でもその気になればこれくらいのサメ映画は充分製作可能であると言えます。まあ「その気になれば」ってところのハードルが異常に高いわけだからダスティン・ファーガソン氏にももちろん尊敬すべき点は多々あるわけですが。しかしこれより劣るサメ映画を作る方が圧倒的に難しく、クソサメ映画の才能を要するでしょう。いっそコンマビジョンの社員さんたちでサメ映画を作った方が面白いものが出来るんじゃないかな。



しかし、単に酷いだけではデビルシャークのカリスマ性には及びません。

本作の最大の見どころは「夕日」です。

海の向こうへ沈みゆく美しい夕日を余すところなくめちゃくちゃゆっくりじっくり見せられるあのシーンにはある種の哲学的な思想か何かさえ感じてしまいます。サメ映画に限らず映像作品であんなもん見せられたのは初めてですよ。本当に何考えてんでしょうね。尺稼ぎか。



もちろん夕日だけでなくその辺の手すりに止まっているだけのカモメもじっくり時間をかけて映してくれるし、珍しく動きがあったかと思えば何の脈絡もなく海水浴場に変態が現れたりと、ひたすら何が何だか分からない映像の羅列が60分間ノンストップで流れ続けます。クソサメホームビデオってレベルじゃねえぞ!



しかし、例によって別に腹は立ちません。

それどころか楽しくてたまらないのです。



これほどいかれたクソサメ映画をわざわざ日本に持ち込んでくれるうえにグッズ展開までしてプロモーションに尽力し、クソサメ映画マニアに一時の地獄を提供してくれようというコンマビジョンの崇高な志に不快感など持つわけがない。半端なクソ映画はただただ苦痛なだけですが、著しく常軌を逸したクソ映画は苦痛の先に快楽がある。普通の映画に飽きた好事家にとってはこのうえなくエキサイティングなエンターテインメントとなり得るのです。



ただちょっと疑問なのは、「えっ?サメ男」はコンマ様でもドン引きして買い付けなかったという話だったんですが、普通にこっちの方が酷い作品だと思うんですよ。コンマ様の買い付け基準がよく分かりません。それとも「えっ?サメ男」はむしろコンマ的にはクオリティが高すぎたのか?



ということで、一般の映画ファンなら卒倒確実の激ヤバ危険物ですが、クソ映画の先にある領域へと踏み込んでみたい求道者はぜひチャレンジしてみるといいのではないでしょうか。








ちなみにDVD版には私の名前も記載されてしまっております。






ここに載ってる人たちは筋金入りのクソサメ映画マニアばかりなんだろうな…


コメント

切り裂きシンザ さんの投稿…
ここのブログは映画の感想のブログだと思っていたのですが、今回の感想を読む限りもはや映画ではないものの感想を読んでいるような気がしますw

しかし、DVD版に名前が載るとはすごいことですね、しかも岩石入道さんだけでなく沢山の方のお名前が・・サメ映画マニアがこんなにいるとは、世の中捨てたもんじゃ・・

いや、捨ててるのか?
岩石入道 さんの投稿…
>切り裂きシンザさん

クソサメ映画とは何か…
そもそも映画とは何なのか…
そんなことに思いを馳せてしまうホームビデオでした。

DVDに名前を載せるにはコンマ様でグッズを買えばいいだけなので実は大してすごくないんですよ。それにほとんどの人は配信で観るでしょうしね。
沢山のお名前が…と言ってもたった38人なので多いと言えるかどうか?
この記事のPV数はいつになく伸びているので興味がある人はもっといるはずなんですが(笑)