概要
原題:AQUARIUM OF THE DEAD
製作:2021年アメリカ
発売:アルバトロス
監督:グレン・R・ミラー
出演:エバ・セハ/D・C・ダグラス/ヴィヴィカ・A・フォックス/アンソニー・ジェンセン/エリカ・デューク
シャイニング・シー水族館では、休館中に生物たちの検査を行っていた。獣医師のカレンは、感染症を起こし瀕死の状態のタコに薬物を注入する。しかし、その薬品はエデン動物園から調達したものだった。エデン動物園では、動物がゾンビ化するというおぞましい事件が起こっていた。タコは一瞬にして蘇るが、突如凶暴化し飼育員たちを襲った後、館内に張り巡らされたダクトの中に逃げ込んでしまう。一方、館長のミランダは、ブラックバーン議員たちを視察に迎え入れ、資金調達の相談をしていた。その最中、頭上のダクトから聞こえる激しい物音に気付くが―。
(↑アルバトロスHPより)
予告編
感想
水族館の生き物たちが変な薬物のせいでゾンビ化し、館内の人間を襲う。
「ZOOMBIE ズーンビ」の二番煎じであることを考慮しても、素晴らしく魅力的なコンセプトの映画だと言えます。ジャケットデザインも最高に良い。これは1億ドルかけた超大作に仕上げるべき企画なのではないか。もし私が大富豪だったら絶対に出資してますよ。
アサイラムは言わずと知れたクソ映画メーカーですが、出してくる発想そのものは悪くないんですよね。
ただ、あまりにもコストをかけなさすぎるからどれもこれもクソ映画になっちゃう。
いかに必要最低限の要素で作品をでっちあげ、顧客を釣ってカネを巻き上げるかだけが勝負。彼らにとって顧客満足度など眼中にもない。もう十分わかってるはずなのに…それでも何かを期待してつい借りてきてしまう私の負けなんです。
…ということで、本作もいつも通りのクソ映画でした。今年のアサイラム作品はついに当たりが一本もなかったな。まあそれが通常営業だと言われればその通りなんですが。良くも悪くもクオリティにバラつきがない。
本作の何がアレかって、水族館の生き物たちがもう全然画面に映らないことです。一応ワニ、トド、ヒトデ、イルカ、アオザメ、カニ、タコが襲ってくることは襲ってくる。しかし彼らが画面に映る時間は全部合わせても10分もない。
生き物を映したくないがためにカメラの外でなんかやってるシーンばかり。顧客が観たいものを堂々と隠していく逆ストロングスタイル。特に通路をふさいでいるサメをまたいで移動する場面の徹底した省エネぶりには開いた口がふさがらない。
サメ…ジャケ絵ではあんなメイン扱いされてるのに。
実質サメ映画かと思ってたのに!!
ワニもノシノシ寄ってくるだけ。
トドはちゃんと襲ってくるけど、キバが刺さってるところは当然何も見えない。
一番出番が多いのはヒトデだけど、安い作り物がばらまいてあるか人にくっつけただけだから「キラートマト」みたいな絵面になってます。オマージュのつもりかもしれん。あと笑えたのはカニをホームランするシーンぐらいかな。
生き物たちが映らない分、人間どもが館内でウダウダしている様子を延々と診せられるわけですが、ストーリーも人間ドラマもへったくれもない虚無世界だし、水族館の中をただ右往左往しているだけで戦略性も計画性もない。
ここには何も…何もない。
それでも、科学者や軍人がうすら寒い議論を展開してこない分だけ「アルマゲドン2021」や「地上最大の決戦」、「シン・宇宙戦争」あたりよりはマシな気はします。とりあえず不快になるシーンもなかったことはほめておきたい。
それにしても「ズーンビ」と同じ監督でありながら、アレよりも圧倒的に貧乏くさい仕上がりとは。一体どれだけカネも時間もなかったのか。ここまでくるとなんだか同情してしまいます。多分スタッフに罪はないんですよ。アサイラムの上層部がよっぽど常軌を逸したドケチなんでしょう。あるいは「シャークネード」が完結した影響で経営状態が著しく悪化しているのかもしれません。真面目に作れば本作もシャークネードの後釜に成り得るポテンシャルはあるんじゃないかな。
ラスボスはタコですが終盤まで全貌を現さず、出てきても全く盛り上がらないヘナヘナバトル。
「あんたのフライが大好物なのよ!」
と叫んでいるおばさんがいましたが、タコのフライなんてアメリカで食えるんですかね。
コメント