「シン・ジョーズ 最強生物の誕生」 感想 中国産鮫映画侮り難し

概要

原題:LAND SHARK

製作:2020年中国

発売:AMGエンタテインメント

監督:チェン・シユー

出演:リクン・ルオ/シー・メイル/ヨウ・ユウ/エルデニ・ナオメン


水深100mにある研究所。そこではサメの遺伝子を改造し、ガン治療に役立てるための研究が進められていた。だが、突然サメが暴走。研究所を破壊し、所員たちを喰い始める。シャークハンターの栄は仲間を連れて地上へ逃げるが、そのサメは水陸両用最強生物であった。



予告編

感想





2016年のアメリカ映画「シン・ジョーズ」





とは全く関係ない中国産サメ映画。



全然期待しないで観てみたら、これが意外にもかなり面白い。サメ映画としても中国産モンパニ映画としても大当たりの部類です。



内容は、ガン治療研究のために遺伝子改造を施していたサメが凶暴化してラボの人間を襲うというもの。



これは「シン・ジョーズ」というよりは「シン・ディープ・ブルー」にした方が合ってそうな話ですね。しかし原題はマーク・ポロニアのアレと同じ「LANDSHARK」。ややこしいな。前半は水没した研究所を舞台にサメが泳いで襲ってくるオーソドックススタイルですが、後半は原題通り陸を高速で這い回って人を喰らいまくります。「陸を這うサメ」がちゃんと脅威に見えるように描かれているサメ映画は珍しい。これなら「シン・ランドシャーク」でも良かったかも。良くないか。



水没した研究所のセットなどを見るにそこそこの製作費はかかっていそうな雰囲気はするし、サメのCGも基本的に悪くはないです。が、時折サメがフランケンジョーズ並みの造形に見えちゃうシーンがあったりもする。しかしこれは決してダメな点ではなく、むしろ臆さずサメを出しまくろうと相当ギリギリの線まで頑張った様子がうかがえます。



「たとえサメがフランケンジョーズになろうと出し惜しんだりはしない!78分の短い尺の中にとにかくサメが暴れるシーンを詰め込みまくるんだ!!」



という熱いサメ映画愛がビンビン伝わってきて大変好感が持てます。最近の中国製モンパニ映画には工場でマニュアル通りに作られたような素っ気なさを感じていただけにこの熱意がより一層好ましく感じられます。サメ映画に必要なのはカネではなく、愛と勇気なのです。…まあカネもあるに越したことはありませんが。



しかも本作、十数人の研究員たちが襲われるだけでは済まさず、巨大化したサメがビルの立ち並ぶ大都会に進出して暴れまくってくれます。ここら辺も毎回絶海の無人島を舞台にしがちないつもの中国製モンパニとは一線を画しており、満足度向上に一役買っている素晴らしいスペクタクルシーンになっています。



ただ人間ドラマだけはいつも通りあってないようなもので、登場人物はテンプレ的だし脇役を「メガネ」とか「ビビリ」とかぞんざいなあだ名で呼んでみたりと極めて粗雑。しかし、わずか78分のサメ映画に人間ドラマなぞ入れているヒマはないのも事実。逆に、サメを出さずに人間ドラマでお茶を濁そうとする腐れ省エネサメ映画群と比べたら何倍も崇高な志を持って作られていると言っても過言ではありません。



本作はただのパチモンではなく、「シン・ジョーズ」の名に恥じない立派な…

…とまではさすがにいきませんが、サメ映画全体で見てもかなり上位に入る優良サメ映画かと思いますのでサメ映画ファンはどうかお見逃しなきよう。



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