昨年はかつてないほど超ハイレベルなクソ映画がアマプラ畑から大量収穫されましたが、今年は残念ながら(?)あれほどまでに常軌を逸した魔物の軍勢はアマプラからは現れませんでした。アマプラからはね。しかし小粒でも数自体は昨年よりも多く、ノミネート作は全部でなんと40本もあったので総合的には昨年より多大なクソ映画成分を消化吸収していたと考えています。
ところで、どうも最近SNSなどを見ていると「映画を批判するのはよくないこと」「気に入らない映画を観てしまっても文句を言わずだまっていた方がいい、または良いところを探してほめるべき」みたいな風潮を感じて萎縮しそうになります。
しかし、そういう風潮とは無関係にクソ映画は製造されます。
それらを黙殺したり、あるいは心にもないお世辞を述べてお茶を濁すのが果たして本当に良いことなのか。
私はそうではないと考えています。クソ映画はその驚くべきクソっぷりを包み隠さず伝えることで初めて「クソ映画マニア」「好事家」という本来の顧客の元へ届くのです。
なんせこのブログでいえば「2020年好事家的映画ベスト10」はたった900PVだったのに「クソ映画オブザイヤー2020」は11000PVを超えてますからね。いくらなんでも差がつきすぎではないか。この事実を見る限り、当ブログの読者の9割以上はクソ映画マニアであると考えられます。
…ということで、今年も私がこれはと見出したクソ映画の数々をクソ映画マニアや好事家の皆様方に強く訴求していきたいと思います。
数が多くてどうしても絞り切れなかったので今年はいつもより5本増しの20位から発表していきます。多すぎてめんどくせぇという方は目次から適当に飛んでください。
20位 奴は顔面から…食わない
配給力凄すぎる度:★★★★★
これは内容だけなら次点止まりかなと思ってましたが、改めて考えるとやはり他と違って全国ロードショーしたトカナの偉業を讃えないわけにもいきますまい。私は「劇場の大スクリーンで観れば大体何でも楽しめる」と思っているのですが、それを覆した数少ない貴重なサンプルであり、生まれて初めて劇場でクソ映画を鑑賞するという貴重な体験をさせてもらいました。
19位 ハイブリッド・クソ映画
マッチポンプ度:★★★
毎度おなじみ氷結系ディザスターパニックのパチモンですが、今年はただの冷気だけではなく時世を反映してウイルスも同時攻勢をかけてくる意欲作となっております。ただしその分、いつにも増してツッコミどころ満載に。クライマックスは自分のミスで崖に投げた重要アイテムを危ういところでキャッチするだけ、というくそしょうもないマッチポンプぶりが印象に残りました。
18位 終末パニックの代名詞
スヴォボダ炭酸塩度:★
このシリーズは安いなりにも毎回荒唐無稽な見せ場があったのに「2021」は手を抜きすぎてそれすらなくなってしまったため虚無的クソ映画度が爆上がりしました。とにかくもう専門用語をこねくり回して時間を稼ぐのはアサイラムしか得をしないのでそろそろやめた方がいいのではないかと。翻訳する人もたぶん「めんどくせぇなこの映画…」と思ってるんじゃなかろうか。
17位 ゾンビによるゾンビのためのゾンビ映画
クサレ脳みそ度:★★
私は全くついていけませんでしたが、もしかするとゾンビになってから観たら楽しめるのかもしれません。
16位 26ガロンもの血糊を使用!!
流血度:★
全然ハッピーじゃないデス・デイ。
血糊の量しかウリがないわりにはそんなに流血していた印象もないんだよね。
15位 史上最低の決戦
モンスター映らん度:★★★★★
チンパンジーとトカゲが30秒ぐらい戦う超スペクタクル怪獣映画。それ以外の1時間27分はもうひたすらしょうもない時間稼ぎでクソ映画マニアのメンタルを削りにかかってきます。そこまでCG映したくないんだったらもうマーク・ポロニアからハリボテ人形でも借りてきた方がラクでいいのではと思う。
14位 恐竜のうんこのドーナツ
恐竜キッズ激怒度:★★★★★★★★
クソ映画の巨匠マーク・アトキンスの新作クソ映画。といっても思いっきり子供向けなのでその辺のクソ映画マニアたちからもほとんど無視されているかとは思いますが、これもなかなかの破壊力ですよ。特に恐竜ロボのケツからひり出されたうんこドーナツを貪り喰らう大人たちなんかは相当アレでしたね。恐竜好きのお子様がいらっしゃるご家庭のテレビでこのクソ映画が再生されてしまうような惨事があったのかどうかが心配でなりません。
13位 クソ映画のながら見はいけない
飯食いながら観ない方がいい度:★★★★
ぶっちゃけ私も毎回クソ映画に全神経を集中して観ているわけではないので、あまりグロくなさそうな映画の時はご飯食べながら眺めたりしているわけですが、この作品はジャケ絵の硬派なイメージとは裏腹に序盤から生首だゲロだ糞小便だときたねえ描写が満載でさすがに食欲が減退しました。もちろん本編自体もドラゴンがホームレスを操ったり、丸のみされたアホがウンコと共に噴出されたり、それをヌイグルミのリスが目撃してたりと文句のつけようがない真っ当なクソ映画です。
12位 双子はやめんか
登場人物アホ度:★★★★★★★
サスペンスで安易な双子ネタを使うのは禁じ手だと思うんだけど、たまにそういうしょうもないのが出てきます。パッと見普通のテレビ映画程度のクオリティはあるんでそこまで酷くはないと感じる人もいるとは思いますが、双子の片割れが悪者だと判明した後は区別する策をいくらでも講じられるだろうに一切何もせず騙され続けるのがあまりに馬鹿馬鹿しすぎて脳が溶けそうでした。
11位 地獄へようこそ
呪われてる度:★
クリントンロードは実在する心霊スポットのようですが、こんな地獄のように虚無的な映画が撮られてしまうとその霊格もだいぶ落ちてしまうんじゃないでしょうか。本物の心霊スポットならこの映画に激怒してスタッフ全員祟られているはずです。内容はあまりに薄すぎてエリック・ロバーツの笑顔しか思い出せん。
10位 今世紀最大のSFアクション!!
続編かよ度:★★★★
ストーリーがわけわからんと思ったら続き物だったうえに、その前作は日本では観られないというアクロバティックな嫌がらせを決めてきたSF映画。貧相なオッサンが周囲にチヤホヤされながら対エイリアン訓練の日々を過ごす…という内容も見ていて痛々しく、居心地の悪さを覚えます。誇大広告・ジャケ詐欺っぷりのやらかし度も本年トップクラス。
9位 痴話喧嘩は悲劇の元
見せ場カットすんな度:★★★★★★★
主人公の女の子が子守りのバイト中に彼氏とケンカしていたせいで子供をサイコなアイス屋にさらわれてしまう話。虚無的な内容にひたすら耐えて耐えてようやっとサイコ・アイス屋との対決になり、これで少しは盛り上がるか!?…と思った瞬間、いきなり後日談にスキップされたうえくっそしょうもないモノローグで締められた時の気持ちは筆舌に尽くしがたい。
8位 生還率2%?
ジャケ詐欺度:★★★★★★★★
1000人規模で兵士がワニに食い殺された実話だと煽っておきながら本編にはたった4人しか出てこないという空前絶後のジャケ詐欺をかましてきたイギリス映画。もちろん別に「ブラック・クローラー」の続編でも何でもないわ、「クロール 凶暴領域」とも何の関係もないわで十重二十重に騙しにかかってきております。まあ仮に何の先入観もなく観たとしても充分アレですが。
7位 戦慄の屋外トイレ
何も起きん度:★★★★★★
森のコテージに泊まりに来た女子大生たち。だがなんと、トイレが屋外にしかない!!どうすればいいのか!!…という途方もない悲劇に見舞われるホラー映画。他に大して何も起きないんだよこれが。変なオッサンが覗きにくるけど誰も気づかずじまいだしさ。
6位 最終兵器バーコードリーダー
バーコー度:★★★★★★
未来で普及した奥様型アンドロイドが男どもに反旗を翻す。
彼女らを倒せるのは購入時に付属してきたバーコードリーダーだけだった。
私はこの作品の監督であるルイーザ・ウォーレンの名前を要注意人物として脳に刻み込みました。が、あろうことか彼女の新作が来年3月に全国で劇場公開されてしまうそうです。東京だけかと思ったら北海道でもやるらしい。信じられん…クソ映画マニア以外に誰が観に行くんだよ? さすがに全国ロードショーまでしなくてもよくない? と思ったらまたトカナの仕業だった。トカナやばいなマジで。
5位 4発撃たれても生きている!!
暗くて見えん度:★★★★★★
4発撃たれても死なないことしか売りのない殺人鬼だなんて悲しすぎる…。しかしこの4発殺人鬼、けっこう著名な格闘家の方が演じているらしいです。それならもっと明るい画面の中で派手に暴れさせてあげてよ。
4位 やわらか風突風
俺様を見ろ度:★★★★★★★★★
空からの心を曲げる恐怖!…が降ってくるSF映画。監督兼主演兼脚本の人の極めて難解なワンマンショーを支離滅裂な自動翻訳字幕と共にたっぷり75分間も存分に拝むことができます。他の人の感想も知りたいので誰か200円&75分間をドブに捨てたつもりで体験してみてください。
3位 自動魔女捕まえ機
なんでそうなるのよ度:★★★★★★★★★
今年私が見たアマプラ謎映画の中で一番ムズカシイなあと思ったのがこれです。
父の葬儀で実家に帰ってきた男がなぜか押し込み強盗と仲良くなり、父の残した設計図から自動魔女捕まえ機を一緒に作って魔女を捕まえて火炙りにしようとするけど、なぜか2人揃って焼身自殺してしまう話。…だったと思うんだけど、あまり自信はない。支離滅裂すぎて何が何だかわからんのです。作中のセリフから察するに主人公たちも何も分かってないし、下手すると製作者も分からないのではないかと思いました。
2位 まばたき厳禁、勝負は一瞬
結果は知りたい度:★★★★★★★★★★
エイリアンとジョーズが0.1秒ぐらい戦ってくれる夢のような映画。ある意味「ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦」の上位互換的な作品と言えます。それでも、コンマビジョンのプロモーションも込みで考えれば非常に楽しめた作品ではあります。ジャケ絵と煽り文句のセンスなんてもう最高。
しかし、純粋に内容だけを見ればどう考えても歴代でもトップクラスのスーパークソサメ映画と言わざるを得ない。というかそうでなければあんなに盛り上がらなかったでしょう。中途半端なものより何かしら突き抜けた要素のあるクソ映画がマニアの間で激しく珍重されるのです。クソ映画界の神にも等しいマーク・ポロニア御大による創造物の中でもひときわ強烈な刺激臭を放つ逸品でした。
1位 見よ、あの美しい夕日を
夕日キレイだね度:
いくらコンマビジョンとはいえまさか同年に「エイリアンVSジョーズ」を超えるクソサメ映画を持ってくるなんて想像もしてなかったんですよ。それどころかあの伝説の「デビルシャーク」さえ超えているのではないかとすら思わせる奇跡のクソっぷりにはもう「2021年No1クソ映画」の称号を献上するしかありません。ストーリー的にはデビシャとどっこいどっこいの支離滅裂さですが、画質の劣悪さという点であれを上回る破壊力があったかと思います。デビシャにはかろうじて存在した「サメのCG」すらサメデターにはなく、全部資料映像の流用で済ませたところも見逃せないストロングポイント。
ただ、ゲロばっかり吐いてたデビシャに比べれば美しい夕日をじっくり時間をかけて堪能できるサメデターの方が気分的にはまだ爽やかな分ましかもしれません。果たしてデビシャのようにカルト宗教化するのか。どちらがより悪魔的かは判断に悩むところです。
ただどちらにせよサメデターが全クソ映画マニア必見の歴史的名作クソ映画であることは疑いようもない事実であり、DVD購入は全クソサメ映画マニアに課せられた使命と言えるでしょう。
ということで、今年はコンマビジョン配給作の芸術的ワンツーフィニッシュとなりました。私もクソ映画マニアとしてコンマ様には積極的に投資しまくっているので、これからもどんどん常識はずれなクソ映画を密輸入していただけるとありがたいなあ…と思っております。
次点など
今回の下位はダンゴ状態でどれにするか非常に悩みました。どうしても選びきれなくて仕方なく20位まで拡張することに。来年はもう増やさんぞ。ちなみに見てる間の苦痛度だけでいえば「アイアンサーガ」「Missエージェント」「インデペンデンス・デイ2021」「ジャングル・ツアーズ」「キラー・タトゥー」あたりも相当に強かったのですが、薄味であんまり言うこともないので入れませんでした。
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