概要
原題:Masquerade
製作:2021年アメリカ
発売:ミッドシップ
監督:シェーン・ダックス・テイラー
出演:ベラ・ソーン/オースティン・ニコルズ/マーセア・モンロー
11歳の少女ケイシーは子守りと一緒に両親の帰りを待っていた。だが、仮面をかぶった2人組の強盗が侵入し、子守りを殺害してしまう。彼らの狙いは美術品であった。一方、美術商のチャリティパーティに潜り込んだローズは、何かの企みを持って主催者の美術商夫婦を家まで送ろうとするが。
予告編
感想
昨年の「のむコレ」で上映されたサスペンス・スリラー。
「~が仕掛けた次なる罠!」
とか
「見ているものを疑え!」
とか、
ジャケ絵の煽りでどんでん返しをアピールしているのでどうしてもそういう目線で鑑賞せざるを得ないんですが、小説でも映画でも完全に既出のトリックであるため容易にオチが読めてしまいました。こういうのは基本的に不意打ちを喰らわせてもらわないと絶対に驚けないんで、どんでん返しの存在はむしろ隠しておいてほしいんですよね。
とはいえ、こういうどんでん返し一発勝負の作品ってどうしても色々なものを伏せてストーリー展開していかなければならない関係上、オチに至るまでの経過がつまらなくなりがちな傾向があると思うんですが、そんな中本作の途中経過はわりといけてる方ではないかと思いました。
ベビーシッターを簡単に殴り殺してしまうほどの冷酷な強盗犯が侵入し、か弱い少女であるケイシーが逃げ惑う前半はホームインベージョンスリラーとしてそこそこ楽しめます。まあ屋根裏に立てこもってからはあんまり動きもなくなるので若干退屈と言えば退屈ですが、尺が80分きっかりと短めなので眠たくなるほどではありません。オチ抜きにしても私は本作より酷い映画を浴びるほど見ているので、これぐらいのクオリティなら充分手に汗を握り、か弱い少女の命運を案じて緊張感を味わうことができるのです。
ただしそれはそれとして、強盗犯を裏で操っていると思しきローズという女のパートが交互に映される様を見ているとどうも不安が頭をもたげてきます。まさかこの映画、使い古されたあのトリックを決めようとしてるんじゃなかろうなと…
以下ネタバレあり
強盗犯たちがマスクで顔を隠しているとはいえ、そもそも登場人物がめちゃくちゃ少ないので彼らが「意外な人物だった」というどんでん返しはあり得ない。いや、意外な人物と言えばそれもそれで間違ってはいないんだけど。
じゃあ何なのかと言ったらあとはケイシーのパートとローズのパートが実は同時進行と見せかけて全然違う時系列だったんだよ!!っていうパターンしかないんですよね。そういう目線で観てると案の定両者がクロスするようで全然してこないし。
こういう叙述トリックって作中の人物ではなくあくまで視聴者を騙すためだけに構成されているため、騙されずに観終わってしまうとどうしても「だから何だよ」と虚しい気分になってしまいます。それでミステリ小説読むのもやめたんですよね。せめて何かもう少し新味があればなあと。しいて言えばターゲットが美術品なのでそっち方面で話をもっと膨らませて煙幕にしてくれれば良かったかもしれません。
コメント