「降霊会 血塗られた女子寮」 感想 これはいい殺し合い

概要

原題:SEANCE

製作:2020年アメリカ

発売:ハピネットファントム・スタジオ

監督:サイモン・バレット

出演:スキ・ウォーターハウス/マディセン・ベイティ/エラ=レイ・スミス/イナンナ・サーキス


全寮制のエデルヴァイン高校へ転入してきたカミールは、初日から意地の悪い同級生たちと激しく衝突していた。ある時、そんな同級生たちに「自殺した生徒と話すため降霊会をする」と誘われ、仕方なく参加することに。だがその直後から参加したメンバーが何者かに一人ずつ殺されていくのだった。


予告編

感想




血塗られた女子寮、2連発。

なお別に関連性はありません。


こっちが便乗された方だと思いますが、そのわりに知名度はいまいち高くなさそう。まあ同じようなタイトルの作品は過去にもありましたが。しかしなぜ毎回女子寮なのか。たまに男子寮があっても…いや、別にいらないか…。



内容は邦題通り全寮制の女子高で降霊会をやったら一人ずつ殺されていき、女子寮が血塗られていくことに…的なやつでした。表面上はコテコテのオカルトホラーで塗り固めつつ、実はそうでもなく人間の犯行かもしれない?という見せ方が昔の探偵怪奇小説風味。




以下全体的にややネタバレあり。




ただ、ミステリー要素があるかっていうとそこもかなり薄味で、黒幕はクライマックスになったら尋ねもしないのに勝手に仮面を外して動機から何からペラペラ全部しゃべってくれるから推理もくそもないし、その動機自体も死ぬほどしょうもない。サイコだから動機は些細な事でも何でもいいのよと言われればそれまでですが。



しかし本作の強みはそんなところにあるのではなく、カミールと黒幕とのやたら凄惨かつコミカルな対決シーンに集約されており、その点は存分に愉しませてもらえました。両者とも大して身体能力が高いわけではないんですが、殺意だけは激しく昂ぶっているので私好みの「全身全霊を傾けた殺し合い」をこれでもかと展開してくれる。素晴らしい。それまで地味な展開で残酷描写もおそらくわざと控え目にしておいて、溜めに溜めたフラストレーションを一気に解放するかのような張り切ったスプラッターぶりが大変清々しくて思わず笑みがこぼれます。



まあそれだけと言えばそれだけではあったのですが、女子寮の人間模様も定石を微妙に外していて興味深かったですね。カミールの気性がやけに荒くて、意地の悪い同級生にすぐ殴り掛かったりするもんだからはじめはグループの仲がギスギスしている。だけど、殺人が起こるにつれて何だかんだ結束が強くなっていくような、そうでもないような感じとか。女子のグループって本当にめんどくさそうだよねと思わせつつ、女子同士の恋愛もあったりとか。本筋はありがちでも枝葉で色々ひねっているのが良かったと思います。


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