「悪魔のいけにえ」シリーズを振り返る





先日「悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ」の感想を書きましたが、あまりにも初代とは方向性が違っていたので、久しぶりに初代も観たくなってアマゾンビデオの該当ページを開いてみて衝撃を受けました。というのも、レビューがたくさんついているのですがボロカスにけなしている人がけっこう目立つのです。「え、あの傑作を…?」と思って読んでみると、おそらくけなしているのは若い人が多そうで、初代の伝説的な評判を聞いて観てみたところ古臭すぎてつまらないと感じてしまうようです。


まあでももう48年も前の映画だから仕方ないのかな…


え、48年…?


と、いつの間にか半世紀もの歴史を持つ超長寿ホラーシリーズになっていることに気が付いたので、ここら辺でちょっと過去作について振り返って当時の感想を書いてみようかと思います(全部は観てないけど)




「悪魔のいけにえ」(1974年)




…ということでまず初代。

これ、物心付いた時には既に家にVHSがあったんですよね。で、そのジャケ絵が「フックに吊るした女性を前にレザーフェイスがチェーンソーを構えてる」構図。これが幼心にとんでもなくおぞましく(もちろん裏面も)、めちゃくちゃ負の想像力を掻き立てられまして、ひたすらビデオを手に取って眺めては中身に思いを馳せてはさぶいぼを立てまくるという日々を送っておりました。ジャケ絵だけでトラウマになれるレベルだった。ただ、邦題がこれだからこのジャケ絵はてっきり悪魔崇拝儀式のシーンなんだなとずっと思ってたら実際は全然違ってたという。


それにしても、あんなもん子供の目につくところに置いておくなよな…と今になって思います。私がホラーマニアになったのもこれが遠因なのではないか。


ちなみにそれが小学生の頃で、実際にそのビデオを再生したのは高校生になってからのことです。どれだけ自分の中で熟成させていたのか。大体自分の中で妄想を膨らませた映画は実際に観ると「思ったほどじゃなかった…」と感じるものですが、これだけは本当に想像を超える衝撃でした。


多分、アマゾンレビューで酷評が目立つのは画質がキレイだからっていうのもあるんじゃないかと思います。昔のあのザラついたビデオテープ画質だと、本物の猟奇殺人事件のスナッフフィルムを目の当たりにしているかのような「観てはいけないものを観てしまった」感がありました。その感覚にハマって何度も観ているうちに、今度はあれだけ恐ろしかったはずのレザーフェイスの滑稽なところが目に付いて笑えるようになってくるのも不思議で、この映画の奥深さに憑りつかれるような思いでした。



「悪魔のいけにえ2」(1986年)




…とはいえ、その後のトビー・フーパー監督作を観ると(「ポルターガイスト」とか)、もう全然フツーの娯楽映画になっていたし、その頃は「続編なんか面白いわけがない」と思い込んでいたので、この2作目を観たのはだいぶ後になってDVD化されてからのこと。たぶん2002年ぐらいです。


しかし、つまらないだなんてとんでもない。いや、面白くはなかったんだけど2作目もある意味1作目以上に異常なキチガイ映画に仕上がっていたのです。未だかつてここまで頭のおかしい映画を観たことはないかもしれないぐらいキレてる。やっぱりトビー・フーパーはとんだサイコ野郎でした。


内容は1作目の時にレザーフェイスに甥を殺された保安官がレザーフェイスにリベンジマッチを挑むというもので、リアルにおぞましかった1作目とはうってかわってチェーンソーでチャンバラを繰り広げる等ふざけたコメディに。ここで初めて「トビー・フーパーは1作目もコメディのつもりで作っていた」と知って驚きましたが、より確信犯的にやりたい放題やらかしたこの2作目の悪ふざけは本当に酷かった。意味不明なラストのインパクトは未だに忘れられません。そして気分が悪くなるほどグロい。



「悪魔のいけにえ3 レザーフェイスの逆襲」(1990年)




未見。

DVD化されたのが遅かった。

発売当時買うかどうか悩みましたけどね。




「悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス」(1995年)


これも未見。

無名時代のレネー・ゼルウィガーとマシュー・マコノヒーが出ているそうですが、日本ではDVD化もされていないので観るのが難しい。ただ、U-NEXTでは配信されている模様。





「テキサス・チェーンソー」(2003年)



マイケル・ベイ&マーカス・ニスペルによるリメイク。

これはかなり良かったと思うんですよ。もちろん初代の雰囲気を再現など絶対できないので普通のスラッシャー映画みたいな感じにはなっているのですが、レザーフェイスが獲物をフックに吊るした揚げ句、チェーンソーで切断した足に塩を擦り込む場面の残酷さがたまらなく痛々しく、他の亜流とは一線を画す出来栄え。初代が古臭いと感じる若い人もこっちなら満足できるんじゃないかと思うんですけどね。




「テキサス・チェーンソー ビギニング」(2006年)





ジョナサン・リーベスマン監督によるリメイク版プリクエル。と言ってもテキサスを訪れた若者4人組がレザーフェイスにぶち殺されるというだけのいつもの話。これも出来はいいんだけど、あまりにも胸糞悪すぎていただけない。若者4人組は全員が善人だし、レザーフェイスよりもその叔父のリー・アーメイがそんな彼らをいいようにイジメる場面が多くてフラストレーション溜まりまくり。レザーフェイスに捕まった若者が活きながら解体されてしまうシーンもエグくて悲惨で相当キツかった記憶があります。



「飛び出す悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲」(2013年)


未見。

「飛び出す」とか言われると手を出す気が失せるんですが…




「レザーフェイス 悪魔のいけにえ」(2017年)



これは旧ブログに感想を書いてあります。

ただ、ほとんど印象に残ってない…。

自分の感想を読み返してもあまり思い出せん。




「悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ」(2022年)



で、ようやくここへ辿り着く。1と2の間は12年空いてるけど、それ以後は意外とコンスタントに新作が出ているんですよね。次は2028年ぐらいかな。


ちなみにこれを観るためだけにネットフリックス会員を継続していたので、先日退会しました。ネトフリってドラマとアニメは充実してるけど映画はそんなでもないんだよな。



コメント

異質な匿名 さんのコメント…
岩石さんこんにちは。長くなります。
悪魔のいけにえをウォッチリストにいれているので非常にタイムリーでした。

勝手に見た報告と見る報告します。

まず先日説明してもらったループ映画を説明していただいた上で再度見直しました!
結局ギリわかったような、映像と説明でもギリわからないような、結局諦めました。
サメもメグは見て、ジュラシックシャークもウィジャシャークもなぜ見てしまったのか…作業にはもってこいですが……ホンダシビックの洗車シーンを見て、これかあ~と笑いました。


最近アマプラと追加でHuluに手を出したので、先述の悪魔のいけにえを見る予定です。実にタイムリーです。
有名作品にはすべて手をつけていくニワカ映画道を極めるつもりでいます。
やっぱり綺麗すぎない画質って大事だなあと思いますね…正直ほとんど見えないような白黒映画も大好きなので。正直好みではないジャンルなんですが楽しみです。

あとザ・納屋で笑わすのは本当にやめていただきたい。

ところで!!!!
サーチ(Search)って見たことありました?
アジア系アメリカ人(たぶん)のパパが、娘と連絡が取れなくなって誘拐されたかもしれない、ということで娘を探すやつです。
ネットを駆使して探す感情的なアジア系のパパ…ってだけで個人的にはちょっとなあと思ってたんです。
というよりアジア系、ってだけで勝手に敬遠してました。つーかジャケットだけ見ればクソつまんなそうなんですよね。


ところがどっこい、非常に面白かったです。ツッコもうと思えば細部にいくらでもツッコめるんでしょうがスピード感と二転三転、の展開は非常に面白いです、完全に高評価です。見ていて違う感想を持っていたらすみません。

Huluで調子にのって13日の金曜日、を1~4まで一気に見て心が折れそうになった後での視聴だったのもあります。(13金の思いがけないポップさとビッチたちの濡れ場と前回の振り返りだけで時間の半分以上もっていかれるとは思いませんでした)

そんな時にたまたま見たサーチ、実におすすめです。
Hulu無料期間などを利用してぜひ。だめなら課金してください(笑)


以上です!さらだばー!
岩石入道 さんの投稿…
>異質な匿名さん

どうもこんばんは。
悪魔のいけにえは途方もなく凄い作品なんですけどね~半世紀後の今初見の人にはそうでもなく思われることも多いようで…まあ、あまり構えずにご覧になってみて下さい。

レイクサイド・スクリームは私も色々と曖昧な理解ですが、それでもアマプラ謎映画の中では相当いける方かなと。あくまであの魔窟の中では、ですよ。

ウィジャシャークは無料で観る分にはそこそこ笑えていいんじゃないでしょうか、私はTシャツもDVDも買いましたが(笑)、あとザ・納屋でウケていただけて何よりです。ご報告ありがとうございます。

「サーチ」は観たことなかったですね。いや、レンタル開始当時に借りようか悩んだんですが、邦題とジャケにあんまり惹かれなくて結局スルーしちゃったんです。でも、オススメとあらば観てみますよ。明日ヒマだから2本分更新しようかな。


私は「13金」は1と8とXとVSフレディしか観てないんですよね。心が折れそうってことは2~3は相当アレなんですか。まあ少なくともシリーズ一気見するようなもんじゃなさそうですね。ホラーの過去作が次々リメイク・リブートされる中「13金」だけ見事にスルーされてますからねえ。まあいよいよネタがなくなったらやるでしょうけども。

匿名 さんのコメント…
本物のスナッフフィルムというか、
室内50度近くなって頭がおかしくなったトビー・フーパーさん

「血糊がうまく出ないな、よし、カミソリのテープ剥がそう」
本当に女優の指先を切って血を出した映像を映画に採用したり、
汚い加工でなく、本当に汚いぞうきんをヒロインの口に突っ込んだり、
足元も見えない枝だらけの場所をチェーンソーで追い掛け回させたり、
あまりの過酷さもあって車いす役のデブと本気で険悪になったり
コメンタリいわく、それはもう地獄のような撮影だったからではないのかと

女優の指先を切って血が出る映像が見られる映画とかこれだけだと思います
岩石入道 さんの投稿…

>2023年11月3日 0:55の匿名 さん

他のジャンルでもそうかもしれませんが、やっぱりホラー映画は頭おかしいくらいの人が
撮った方が面白くなるんだろうなと思います。
とはいえ現代ではコンプライアンス的に厳しいのもあるしこういう作品は二度と生まれようがないでしょうね。