「Search/サーチ」 感想 煙幕の張り方が唯一無二

概要

原題:Searching

製作:2018年アメリカ

発売:ソニーピクチャーズエンターテインメント

監督:アニーシュ・チャガンティ

出演:ジョン・チョー/デブラ・メッシング/ミシェル・ラー


16歳の高校生マーゴットが失踪する。彼女の行方を追う父親のデビッドは、娘のフェイスブックやタンブラーなど使っていたSNSを片っ端から調べていくうちに、娘には自分が知らない別の顔があると気づいていく。


予告編

感想



全編がパソコンの画面上だけで進行していくサスペンス・スリラー。

監督は「RUN/ラン」の人。

レンタル開始当時はスルーしてしまっていたんですが、コメント欄でオススメされたので見てみました。



父親がパソコンを駆使して失踪した娘の行方を追うという話。使用されるアプリは多岐に渡り、フェイスタイム、フェイスブック、タンブラー、ユアキャスト、グーグルの各種サービス等。パソコン画面しか映らないとはいえ次から次へとスピーディに展開していき、息をつく間もありません。



観終わってから改めて考えてみると、この娘マーゴットの失踪事件そのものはサスペンスとして別にそれほど目新しいものではなかったように思います。この話を普通の見せ方で展開していたら、私もあれやこれやと想像を巡らしながら観ていたでしょうし、そうなると真相も何となく想定の範囲内だったな…と感じて印象に残らなかったことでしょう。



しかしそこにパソコン画面のみという縛りを加えることが、サスペンスとしては他に例のないユニークな目くらましとして機能していました。こんなやり方もあるんですなあ。私はサスペンスやミステリーは「いかにして受け手に真相を悟られないように煙幕を張るか」というジャンルだと考えています。そんなトリックやミスリードの手法なんて昔から様々な媒体でアイデアは搾り尽くされており、そうそう新しいネタは出せないだろうとずっと思っていました。が、進歩する時代に応じたサスペンスの作られ方があるもんだなと。これにはシャッポを脱ぐしかない。



しかも私の場合、同監督の「RUN/ラン」の方を先に観てしまっていたため、本作も「実は親子関係に致命的な難がある話なのか?」「この監督はそういうテーマが好きなのかも」などと余計なことを想像してそちらに気をとられてしまっていたため、なおさら二転三転する展開に翻弄されまくることになりました。父親デビットは妻を亡くしてから娘と疎遠だったので、そういう要素がまるでないというわけではなく余計騙された。パソコン画面縛りになっているのも、アプリを通して間接的に見せることによって、娘との心理的障壁を表現しているのでは?だとすればラストだけはその縛りを解除するのでは?…とか色々的外れなことを考えてしまいましたね。



それだけにあの真相は完全に想像の埒外で、久しぶりにサスペンスで気持ちよく騙される快感を味わえました。同じ手にはもう引っかからないつもりですが、続編の方も楽しみに待ちたいと思います。



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