概要
原題：Jallikattu
製作：2019年インド
発売：マグザム
監督：リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ
出演：アントニ・ヴァルギース/チェンバン・ヴィノード・ジョーズ
インドのとある村で、肉屋の男が水牛を一頭逃がしてしまう。
商店街や畑を荒らして逃げ回る水牛を捕まえるため、村中の男たちが総出で牛を追うが…
予告編
感想
徒歩版マッドマックス怒りのデスロード！
そこにジョーズのエッセンス！
牛追いワイルドスピード！
…などというボンクラの琴線をいたく刺激する宣伝文句が気になっていたものの、田舎では当然上映してくれないしアマプラでも一向に配信されないので忘れかけていました。が、ふと見るとビデックスで配信されておりやっと観ることができました。
この宣伝だとどうしても純エンタメ映画を想像してしまうんですが、実際は限りなくアート寄りの作風。劇場で観てたらまた違うんだろうけど、そこまでテンションは上がりませんでしたね。ジョーズのエッセンス！とか言いながら監督の名前にも出演者の名前にもなぜかしっかり”ジョーズ”と入っており、サメ映画マニア・アニマルパニックマニアの期待をこれ以上なく煽ってはきている。が、実際のところは「ヒューマンパニック」…いや、「インド人パニック」…いや、「男パニック」と呼称したくなるような尖りまくった内容に唖然。とりあえずこれ以上ないほどのパニックは起こっておりますが。
肉屋の水牛が逃げたぞ！追え！！…っていうだけのシンプルな話の中に、黙示録が云々、キリスト教的に云々、人間風刺が云々と高尚なメッセージが込められているようなそうでもないような知的さと、この上なく野蛮な暴力性が同居しているところに本作の独自性を強く感じます。演技なんだか素なんだかよくわからない村人たちの荒れ狂う様相に投げ込まれた水牛のアニマトロニクスのクオリティが妙に高く見えるのも不思議な感覚。あの猛り狂ったインド人軍団は恐ろしいけどもたかが水牛一頭に手間取りすぎではという気がしないでもない。
最終的にはインド人軍団がリアルに1000人ぐらい集まって水牛を追っかけまわし、「ワールド・ウォーZ」のゾンビみたいな惨状を展開してくれる。ここはある種の神々しさが漂うほどの汚らしい地獄絵図で、何か凄い変なものを観たぞ…という満足感を得ることはできました。
あと地味に気になったのは、バケツの取っ手を包丁で雑に切って銃弾を作っていたところ。火薬も何もないのになんであんなものが撃てるのだろうか。
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